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□兎の1番の好物
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「別に団長の女じゃなくてもいいんじゃねーか?」
「そういう問題じゃない。てか、私も一応女だからさ」
ほら…初めてはやっぱ好きな人としたいし?
「つまんねーな…」
「このスケベ変態おやじ」
「どんだけ最低なんだよ俺」
最低だろ。最低の中の最高ランクの最低だよ。
「まーいいや。歩きながらにでも考えるとするよ」
「おう。じゃあ俺は最後の仕上げするか」
チラリと阿伏兎を見れば、すごく楽しそうに仕上げをしていた。
……ヤッベ、また吐き気が。
***
「あーでもやっぱ…うーむ…」
あれから船内をひたすら歩きまわって、頭をひねってるんだけど、全くいい案が浮かばない。
「団長の好きなもの…好きなもの…なんて。料理と戦闘以外知らないよ!」
なんだ?私が戦い相手になればいいのか?
「…やめよ。今日きっと私の命日になるから」
団長手加減してくれなさそうだもんね。ここぞとばかりに。
いつも何かと私にちょっかい出してきては私死にかけてるし。
「ハァ……」
「お、いたいた…名前ー」
「んぁ?なんですか、アホ…阿呆提督様」
「今アホって言おうとしたな?言おうとしたな?」
「言ってませんよーアホ。あ、すみません阿呆様」
「てめぇ殺すぞ?」
あー相変わらずうぜぇ豚野郎だな。でも一応上司だからな。仕方ないか。
「で?何の御用ですか」
「神威を呼んできてもらいたい。この後話したいことがあるんでな」
「団長を…ですか……?」
「…そんなに嫌なのかよ」
「別に嫌ってわけじゃないんですけど…」
だって、あの人神出鬼没なんだもん。
このひっろ―――い船内のどこを探せばいいってのさ!?
「とりあえず頼むぞ。見つけたら私の所に来いと伝えろ」
「…りょーかい」
チッ…アホ提督が。このセクハラ親父が。
前にセクハラしてきたことまだ根に持ってんだぞ、コノヤロー。
とりあえずイラついたので、壁を壊してみた。
ふー…これでとりあえずスッキリしたかな?
「おいなんだコレ!壁がぶっ壊れてやがる!!」
「テロか!?テロなのか!?」
なんか私が去った後の方が騒がしかったけど……ま、いっか。
「はてさて…どこから探そーかな」
団長がよくいる場所…ってのもないからな。困った人だよ。
「手始めに部屋でも行ってみるかな」
とりあえず団長の部屋に行ってみる。
春雨内では役職ごとに部屋割りが決められている。
私もそれなりの地位だからいい場所には住んでるんだけよね。
「それにしても、やっぱ団長クラスの部屋ってのは慣れないな…」
やたら豪華だし広いし。なんかヤバい雰囲気漂ってるし。
できれば近寄りたくないんだよな、この辺って。
団長クラスの人って何か変な人多いしさ?うちの団長は…まぁ、殺し癖がなければマシな方だよね。
………やっぱマシじゃないかも。
「えっと団長の部屋は…」
七師団だからもっと先かな?
そう思って足を進めたその先にいたのは私的に会いたくない奴だった。
「誰かと思ったら七師団の副団長じゃねーか」
「……勾狼団長ですか」
会いたくなかったなーこの人?いや、狼野郎には。
一応団長だから上司なんだけどさ…性格悪いんだもん。裏あるのなんて私はお見通しだし。