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□今日が始まり
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「ホントわかりやすすぎなんでィ、名前は。昔っからな」


「そうなんだ……」


自分じゃ気付かなかったよ。そんなに顔に出てるんだ、あたしって。


「素直すぎるから、そこがいいって奴も…」


「へ?なんか言った、総」


「「キャアアアア!沖田くーん!!」」


…ゲッ!来ちゃったよもう来ちゃったよ。

気づけば既に校門前。そして、そこにいたのはすごい数の女子達。


「沖田くんおはよー!」


「キャー沖田くんだぁ!!」


「………」


「ねぇ…また一緒に来てるよ。苗字さん」


「幼馴染だからって調子のってんじゃね?」


あたしはこの時間が1番嫌い。総悟が不機嫌になるってのもあるけど、女子達がムカつく。

これも昔からのことなんだけど、総悟はとにかくモテる。スポーツ万能、顔もよし、頭もそこそこいい。
…なーんて3大要素があったら、女の子は一コロだよ。

…ま、皆は総悟のドSキャラを知らないからそんなこと言えるんだろーけど。

だからあたしに対しての、総悟ファンの視線はとにかく冷たい。


「疲れたぁ〜…」


「俺もでィ。毎回毎回…ほんとウゼェ」


うっわー総悟今日はいつにもまして不機嫌全開だね。
まぁ、これはホント慣れないよね。モテるのも本当に大変……。


「名前――――――!!」


「うぎゃあっ!?」


3Zの教室を開いたら、いきなり何かが飛んできたもんだから教室のドアに頭をぶつけた。


「痛い…これなんか馬鹿になった!絶対記憶の一部消えた!」


「大丈夫ネ!名前は元々馬鹿だからノープログラム!!」


「うん、知ってるけど。知ってるけどね!?それから、ノープログラムじゃなくてノープロブレムね」


「神楽ちゃん、そこは通行の邪魔だから教室で騒ぎましょうね?」


「あ、お妙ちゃんおはよー。後一応神楽も」


「おはよう、名前ちゃん」


あぁ…朝から妙ちゃんの悩殺スマイル。かなりキュンとくる。
あ、別にあたしは近藤と同じような趣味ってわけじゃないよ?


「名前ちゃん、なんかやつれてるわね?」


「あーうん。朝から女子の大群がいてさ」


「沖田くんのファンの子たち?」


「そーそー」


「は!あんな奴のファンになる女子はどうかしてるネ!!」


神楽が凄い嫌そうな顔をして総悟のことを睨んだ。
そしたら、それに気づいた総悟も神楽のことを睨んだ。


「おい…なんか言ったか?このチャイナ野郎」


「私は野郎じゃないネ」


「んだと、このドちび」


「んだと、このサディスティック」


乱闘が開始。これも日常茶飯事なんだけどさ。
どうしてこの2人は犬猿の仲なんだろ。


「うるせー奴らだな…いつものことだけど」


「あ、土方。おはよー」


「ん?あ、あぁ…」


なんだその顔は。あたしさっきからいたんですけど。
小さくて見えなかったってか?見えなかったって言いたいのか!?


「マジ死んでよ、土方」


「なんでだァアアア!?なに朝からんなこと言ってんだ!!」


「あたしだってもう少し背がほしいさ!だけどこれ以上成長しねーんだよ!!」


「あぁ?」


土方はわけがわかんないって顔をした。

…あ、これはもしかしなくてもあたしの早とちり?


「まっ、いっか。土方だし」


「おい…いい加減俺もキレるぜ?」


「大丈夫。あたしには総悟っていう最終兵器がいるから」


「誰が兵器でィ。土方は抹殺したいけど」


「おい、朝から疲れる会話すんな」


神楽と総悟の戦いはいつの間にか終わっていたみたい。
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