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□恋心チョコレート
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「"沖田総悟"、ってあのZ組の?」
Z組は問題児が集まるクラスらしいのだが、一部とてもモテる人達がいる。その中の一人が、この人だった気がする。
まあ確かに初めて見た時は女だと思ったぐらい可愛い顔してたっけ。噂によればドSで腹黒いらしいけど、そこがまた良いとの情報だ。
「………とりあえず、沖田くん、に返した方がいいよね」
「俺がなんでィ」
「え」
突然聞こえた声に振り向いてみれば、そこにいたのは思わずドキッとするような甘い顔をした噂の彼。
うわ!お、沖田くんじゃん!こんな間近で見るの初めてだー。
学校の有名人に会えてちょっと感動してると、彼は眠そうにあたしの手元にある物を見た。
あ、そうだ。これ………。
「あ、あの沖田く」
「悪ぃけど、俺そういうのは受け取らねーから」
「………は?」
「正直いってバレンタインとかめんどくせぇし。それ、持って帰ってくれやすか?いらないんで」
え、ちょっと待て。これはもしかして、あたしが渡す雰囲気になってる?
なんか周りにいる女の子たちも、えーこんな所で!?だいたーん。とか言ってるんですけど!
「ち、違うから!これあたしのじゃないし!」
「別に嘘つかなくてもどっちにしろ俺の答えはノーでィ」
「話し聞いてんのか!あたしアンタのことなんて好きじゃないから!!」
「流行りのツンデレを取り入れたって俺の気持ちは変わりやせんぜ」
「だーかーら!!!」
なんだこいつ!イケメンだけど、なんかすっごいめんどくさい!イケメンだけど!かっこいいけどさ!
そもそも、このチョコに見覚えはないわけ?さっきの子はこれを渡そうとしたはずだよね。
「あのさ、このチョコ見覚えある?」
「いや、全く」
………こいつ。本当になにも見てないじゃん。女の子の努力をそんな無下に扱って許されると思ってるの!?
もう駄目だ!一発言ってやらないと気が済まない!!
「おい、沖田総悟!!」
「え(フルネーム!?)」