short×special

□旧拍手文
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拍手限定:Ifシリーズ
【もし彼・彼女が学生だったら】




【紅の瞳、紅の華】より。
緋嬾×紅蓮











――校門の前。




そこに背を壁に預け、腕を組んだまま、目を閉じている一人の青年がいた。


褐色の肌にざっくばらんな髪。その青年は、真っ黒なスーツを着込み、サングラスをかけていた。

誰も、その瞳を見留めることは出来ない。
だが、どこからどうみても美青年であるということには変わりなく。


いつの間にか彼の周りには格好良さに惹かれて立ちすくむ女性たちがいた。




騒めきが絶えないそこへ、一人の女性が駆け寄った。
動きにあわせて、艶の入った長い髪が跳ねる。







「――紅蓮」







空気に溶けてしまいそうなほどに甘くて細い声。
青年は、サングラスを取ると自分の名を呼んだ女性を見下げた。





「…終わったのか?」





彼女の紅色の瞳を見つめる。走ってきたのか、少し揺れていた。






「えぇ。でも少しだけ、勾陳に任せてきてしまったけれど…大丈夫」





心配しないで、と笑う緋嬾に、紅蓮は自然と手を伸ばした。






「そうか」







くしゃ…と髪を撫でて、手を組み重ねる。
だが、ひやりと冷たい手に紅蓮は、思わず口に出した。







「冷たいな」




「あ、さっきまで水に触っていたから…」






その所為、だと緋嬾は苦笑いを浮かべる。緋嬾からしてみれば、紅蓮の手はとても温かく、優しくて。




「…」




紅蓮は、ふと考える仕草をした後、緋嬾の体を引き寄せた。






「俺が温めてやろうか…?」






耳元で囁かれ、緋嬾は顔を紅く染めた。
顔をあげると、妖艶な笑みを浮かべた彼と目が合う。







「今日はゆっくり、な…」







その手に、その瞳に、誘われるように歩き出す。










もし彼・彼女が学生だったら。


(いつも帰りは貴方の手の中)









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