雲と嵐の恋愛事情

□C
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「み〜ど〜り〜たな〜びく〜」



聞こえてきたのは変態野郎の鳥の声

そして、並中のダッセェ校歌




それはまるで…この壁の向こうにアイツがいる


そう、俺に伝えているかのようだった






そして俺は、気付けば壁に向かってダイナマイトと放っていた





中に居たのは傷だらけのヒバリ



「…元気そーじゃねーか」

「このザコ二匹、僕にくれるの?」

「好きにしやがれ…」

「そう…」



ヒバリが一瞬だけ、俺を見た



すると、勢いよくメガネヤローとアニマルヤローを愛用のトンファーで倒し始める



悔しいが…強い


あんな傷だらけで、よくああも戦える


正直、俺より傷…酷いんじゃないか?




決着は、あっという間だった


ヒバリは一人で、あの二人相手に勝利をおさめた




「…弱いくせに群れるからだ」




何だか、自分の事を言われているようで、胸が締め付けられるように痛かった


何だ?


この胸の痛みは?




「ヒバリ、ヒバリ、ツヨイ、ツヨイ」

「当たり前でしょ?誰だと思ってるの?」

「ずいぶんと…手なずけたもんだな…」

「案外可愛いもんだよ?にしても君、傷だらけだね」

「てめぇ程じゃねぇよ……六道骸に、やられたのか?」



そう尋ねると、雲雀が少し顔をしかめる



「あんな奴、桜さえ無ければ返り討ちにしたのに…」

「桜?この時期にか?」

「ああ、どういう手品かは知らないけどね」

「ふーん、じゃあちょうどよかったな」

「何が?」

「ほらっ」



俺はヒバリに向かって小さな紙袋を投げ付けた



「何これ?」

「サクラクラ病の処方箋だ。感謝しろよ、男は診ないシャマルから無理矢理貰ってきてやったんだからな」

「君…が?」

「か、勘違いすんなよ!?てめぇの為じゃねぇからな!お前が10代目の足手まといになったら困るからだからな!」

「ふーん、まっ、そういうことにしておいてあげるよ」



俺の渡した薬を飲みながら、ヒバリが笑った…

それも、凄く優しく





な、何だよ……今の顔

何でそんなに優しく笑うんだよ



意味、わかんねぇよ…



「君、顔赤いよ?」

「はぁ!?んなこと気のせいだ!!」

「そう?まぁいいけどね」



そう言うとヒバリは、何故か俺に手を差し延べた



「な、何だよ…」

「あの草食動物の所に行きたいんでしょ?借りは直ぐに返す主義なんでね」

「なんかヒバリじゃねぇみてぇ…」

「文句あるの?」

「別にっ」


ヒバリが差し出した手を、俺は取る

体温が1度上がった気がした……






今思えば、俺はこの時



ヒバリに捕われてしまったのかもしれない





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