雲と嵐の恋愛事情

□G
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ハリケーン・タービンの爆発音を聞きながら


死を、覚悟した




でも、それでも構わなかった

死を怖いとは思わなかった


10代目の為に死ねるなら本望だ



そう、思ったはずなのに

俺の頭を占領するのは10代目ではなく



雲雀恭弥だった







"隼人"




たった一度


たった一度だけ呼ばれた名前



あの日からヒバリとは逢ってない



逢うのが、怖かった




俺の中でヒバリの存在が大きくなるのが怖かった





入って、来るなよ



1番大切なのは10代目なんだ


10代目じゃなきゃ、いけないんだ






「リングを敵に渡して引き上げろ、隼人!」






"隼人"



やめろ…


やめてくれっ


俺の中に、入って来るんじゃねぇ!!!!





「ここで引き下がったら10代目の右腕の名が廃るんだよ!?


ここは死んでも引き下がれねぇ!!!」





俺は、10代目の右腕でありたいんだ!!!










「ふざけるな!!!」

「っ!」

「何の為に戦ってると思ってるんだ!またみんなで花火見るんだ!だから強くなるんだ、だから戦うんだ。

またみんなで笑いたいのに……


君が死んだら意味がないじゃないか!?」







10代目の言葉が、俺の心に響き渡る


ああ、もう大丈夫だ




もう迷わない



10代目の為に生きて


10代目の為に死ぬ




そう、心に決めた









「すみません、10代目…。花火見たさに戻ってきちまいました…」



貴方ともう一度、花火が見たい


その為に生きよう


あいつの事は、忘れよう









「これは一体なんの群れ?」



トクン



少し、心がざわついた



見上げると、そこにはヒバリがいた




目が、合った



でも大丈夫だ


あの時みたいに熱くはならない


俺の頭を占領したりしない





もう、大丈夫



俺はヒバリに囚われたりしない―――










目が合ったヒバリの瞳が哀しそうな色をしていた事を


俺は気付かない振りをした



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