雲と嵐の恋愛事情

□O
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ボンゴレアジトでの用事を済ませ、財団施設に戻ろうとした時、視界に写った銀色

直ぐに隼人だと気付いた



別に気配を消していたわけでわない

なのに、人の気配に敏感な隼人が僕に気付かないことに疑問を感じた


よく見ると隼人の足取りは覚束ず、目も虚ろになってフラフラだった



そして、まるで糸が切れたかのように隼人の身体は傾きだした



「っ!?」



慌てて駆け寄って手を差し延べて隼人の身体を支える

そして感じた違和感




(…軽すぎる)




腕も細い

そりゃ、この時代の隼人に比べたら軽いのは当たり前だ

それにしても…



よく見ると頬はこけ、窶れていた




(僕としたことが…)





なるべく隼人とは関わらないでいると決めた日から、僕は隼人を見ないようにしていた


触れたくなってしまうから…


抱きしめて、甘やかして、傷つかないように閉じ込めたくなってしまいそうで怖かったから




でも、それは間違いだったようだ

こんな状態の隼人に気付きも出来なかったなんて…




「…出来れば君とは、関わりたくなかったんだけど…」

「っ…!」




僕がそう告げると、隼人が傷ついたような瞳を僕に向けた

まるで、必死に何かを求めるように





求めている、彼は


僕を



その事実が堪らなく嬉しい





いいんだろうか、手を差し延べても


隼人の力になっても、いいんだろうか?





「一人で、歩ける?」

「……」



小さく頷く隼人に気付かれないように、僕はクスリと笑った



「じゃあ、着いてきて」

「え?」

「一人で歩けるんでしょ?それとも僕に担がれたいの?」






僕が隼人の為に出来ることなんて無いと思っていた

僕の存在は、隼人を苦しめるだけだと思っていた





でも、見つけた


僕が君の為に出来ること





目の前の隼人を1番想っている僕が来るまで、君の側に居てもいいんだね



だったら僕が、隼人を支える糧となろう…――





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