雲と嵐の恋愛事情

□R
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獄寺隼人が姿を消した



否、正確には彼だけではない

赤ん坊を始め、沢田綱吉を中心とした数人が行方不明となっている





「やはり、並盛に彼らがいる可能性は0です…」

「そう…」




隼人が行方不明になってから数日

僕は寝る間も惜しんで彼らの捜索をした


しかし、隼人は疎か手掛かりすら見つからない始末


分かった事と言えば、並盛に彼らは居ない…………それだけだ





「委員長…いい加減に少し休んで下さい。このままでは委員長の身体が…」

「うるさい。僕に指図するな」

「っ……失礼しました」

「屋上へ行く。引き続き捜索を続けろ」

「…はい」



草壁にそう言い残して、僕は屋上へ向かった

ちょうど今は生徒が登校する時間。本来ならそんな群れを見ることはしないが、ここ最近は毎日その群れを眺めていた



群れの中から、彼を探した


しかし、求めている銀色は姿を現さない。
代わりに現れたのは黒塗りの高級車。中からは探している銀色とは対象的な金色が出てきた。



もはや見慣れてしまったその金色に、僕は小さなため息をついた













「よ、恭弥!元気かーって、んな訳無いよな、」

「貴方のせいでテンションはがた落ちだよ」



予想通り真っ直ぐに屋上へやって来た自称家庭教師の跳ね馬ディーノ

そのヘラヘラした笑顔は、僕の苛立ちを募らせた




「そうイライラするなって。今日は良い情報を持って来てやったんだぜ?」

「っ!?まさか、彼らの居場所が…!!」

「いや、悪い。それはこっちも全力で捜索してるんだが、まだな…」

「………そう、」



彼らが並盛に居ないとするとあと考えられるのはイタリアだ

ボンゴレだマフィアだとかには興味はないが、そのマフィアが絡んでいる事は間違いない




「恭弥、ツナ達は俺達が思ってる以上に危険な目に合っているかもしれない」

「…そんなの、分かってるよ」

「ツナだけじゃない。山本、ランボ、クローム髑髏………そして、隼人。彼らの失踪には何かしらの裏がある。
そして、ボンゴレ守護者であるお前や了平が巻き込まれるのも時間の問題だ」

「僕としては、早く巻き込んで欲しいけどね」



そうすれば彼に………隼人に逢えるかもしれない



「ははっ、そう言うと思ったぜ!だから俺は、9代目から直々に任務を授かった」

「任務?」

「これからお前はどんな過酷な戦いに巻き込まれるか分からない。だから、教えておきたい事がある…―――」
























「リングの炎、ね」



僕はリングに燈る紫色の炎を眺めた


跳ね馬が言うには、この炎が今後の戦いに不可欠になるらしい…

今の僕は跳ね馬のような大きな炎は出すことは出来ず、小さな炎が燈っている



ムカつきが、この炎を大きくすると言っていたが




『いいか、恭弥。ボンゴレリングを必ず身につけてろ。そのリングは必ず恭弥を守る事になる。そして…




そのリングで、隼人を守ってくれ…』






「そんなこと、貴方に言われなくても…」




僕はポケットに手を入れると携帯を取り出した



『お掛けになった番号は、電波の届かない場所か…』




虚しく流れるアナウンスに、僕は携帯を握りしめた



隼人に最後に逢った時に教えて貰った、彼の番号

それは未だに繋がる事なく、意味を成すことはない





『リボーンさん見つけたら言う、から。絶対言うから!

だから、もうちょっと、待っててくれ…』



あの時隼人が言おうした事がなんなのか、全く分からない程鈍くはない


それは、単なる自惚れかもしれないし、僕の願望でしかないのかもしれない





「獄寺………隼人、」





いつになったら僕は、君の答えが聞けるのだろうか…――?





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