雲と嵐の恋愛事情

□S
1ページ/1ページ




視界が、ぐにゃりと歪んだ



流石に連日の捜索で疲れが溜まっていた僕は、屋上で仮眠をとっていた

すると、爆発音と共に視界は一転し、気がつけば見知らぬ場所いた



目の前には、変な眉毛の男

そして、視界の端に写った……見知った男




(山本……武)




隼人と共に行方不明となっている山本武が此処にいる

それはつまり、隼人が近くにいるかもしれない





「ねぇ、君」

「っ…!」

「なぜうちの行方不明だった生徒が倒れているんだい?」

「…………山本武は、俺が屠った」

「ふぅん、君が…」




山本武はあの赤ん坊が認めるだけの事があり、僕の知る草食動物の中でなら、かなり強い

それを、目の前の男はいとも簡単に屠ったという



此処が何処だかは分からないが、それだけ危険な場所だという事は直ぐに理解出来た




「じゃあ話しは早いね。君の行為を並中への攻撃とみなし、僕が制裁を加えよう」




なら僕は、一秒でも早くこんな男を咬み殺して、山本武に隼人の居場所を聞き出すまでだ




















「獄寺さん!大丈夫ですか!?」

「ああ…なんとかな、」




γとの戦いで負傷した俺は、情けない事に草壁の手を借りなければ立つのもやっとの状態だった




「この扉の向こうに恭さんが居ます。恐らく、山本氏やラル・ミルチも…。準備は良いですか?」

「あ、ああ…」



俺はボンゴレリングに炎を燈した

この向こうで戦ってるのが雲雀なら、俺の手助けなんて必要ないかもしれない


でも、少しでもいい。借りを返したい。




雲雀の力に、なりたい





扉が開く

それと同時に響く、無数の爆発音


そして俺の目に真っ先に飛び込んできた存在に、俺は流れそうになる涙を必死に堪えて、炎を匣へと注入した




なぁ、雲雀………少しでもお前の役に立ててるか?





「へ……借りは返したぜ…。つっても、てめーじゃわかんねぇか」





雲雀と目が合った瞬間、まるで糸が切れたかのように力が抜けた


情けないな

やっぱり最後は、お前に頼るしかないんだな




「ひ、……ばっ」



後は任せた。

言葉には出来なかったが、ちゃんと伝わったと確信した





……死ぬなよ、雲雀


生きてちゃんと、俺の気持ちを聞いてくれ…―――




Next...

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ