雲と嵐の恋愛事情

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強いと、思った



よく分からない術は六道骸を思い出し、苛立つ

本気で戦っても勝てるかどうか分からない。そういう存在に出会えた事に嬉しいと感じると同時に、焦りが生まれた



僕は、こんな奴に負ける訳にはいかない




眉毛の男に吹き飛ばされた時、僕は無意識にリングに炎を燈した

そのお陰か、思っていたより傷は浅く、再び立ち上がる事が出来た



あの男の言っていた事は、あながち嘘ではないらしい




「貴様…この時代の戦い方を知っているのか?」

「…?」

「では…これを見た事はあるか?」



そう言って眉毛の男が出したのは、小さな箱

もちろん、そんなもの知るわけもない



「…オルゴールかい?」

「やはりな…ならば、圧倒的に倒すのみ」



男がそう言った瞬間、僕は無数のミサイルに囲まれていた


しかしそれは、一瞬にして姿を消す




「さらばだ、雲雀恭弥」




目には見えない

だが、何かが迫っているのは本能的に分かった




もうダメだ……一瞬だけ死を覚悟した


しかし、僕を守るように現れた得体の知れない壁のような物が現れ、爆発音だけが響き渡る




「へ……借りは返したぜ…。つっても、てめーじゃわかんねぇか」




懐かしく、愛しい声に、僕は身体を向ける

そこには探し求めていた彼の姿





あの時と、同じだ



六道骸と戦った時と、同じだ


あの時も暗い壁の内側で、六道に負けたという屈辱が僕を襲っていた



そんな時に現れたのが彼だった




『…元気そーじゃねぇか』




あの時も、今のみたいな不器用な笑顔を僕に向けていた


ああ、僕はまた君に助けられたのか…

でも、不思議だ



他人に助けられるなんて、僕にとっては屈辱でしかないのに。君に守られるのは気分がいい




「ひ、……ばっ」



隼人は何かを言いかけてそのまま気を失った

後を託された。なぜだかそう感じた




「草壁哲矢。いつ群れていいと言った?」



ムカつく。僕がずっと探し求めていた存在に、ああも簡単に触れるだなんて




「恭さん!リングの炎です!!!匣で応戦を…!」

「匣が何かは知らないけど、リング炎……跳ね馬みたいな口ぶりがイラつくね」



ボンゴレリングから、紫色の炎が吹き荒れる

今までとは違う、大きな炎



ムカつきがこの炎を大きくする。跳ね馬もたまには良いこと教えるね





「君達全員……咬み殺してあげる」





そして早く、君に触れたい



君の答えを聞かせて…―――





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