雲と嵐の恋愛事情

□番外編
1ページ/1ページ

※10年後の雲獄です。
未来編で白蘭を倒し、無事に綱吉も生き返ったという設定でお読み下さい。



****





「獄寺君が……口を利いてくれない…!」



過去の俺達が白蘭を倒し、仮死状態だった俺も元に戻る事が出来た


全ては計画通り……のはずだっのに!




「獄寺君に嫌われたー!!!」

「仕方ないのな。ツナの死に一番ショックを受けてたのは獄寺だったし、しかもそれを全部秘密にされてたらなー。俺だって怒ってるさ」

「だ、だって!黙ってろって正一君がぁ!!!」

「えぇ!?僕のせいですか!?」

「獄寺に見捨てられたら、ツナもただのダメツナだな」

「見捨てられた言うなぁ!!!」



グズグズと泣く綱吉に、山本は少しイジメ過ぎたなと笑みを浮かべる



「獄寺だってちょっと拗ねてるだけなのな。アイツがツナを見捨てるなんて有り得ないから安心しろ」

「……本当?」

「もちろん。今は、雲雀に任せておけば大丈夫だって!」

「…そうだね、雲雀さんに任せておけば……って、ちょっと悔しいけど」

「それは俺も同感なのな」



綱吉と山本は、互いに顔を合わせて笑った


















「まだ怒ってるの?」



通いなれた獄寺の私室に訪れると、獄寺はちらりと視線を向けるだけで再び目を反らされた



こうなる事はあらかた想像はしていたが、こうもあからさまに拒絶されるとちょっとショックだ




「黙ってた事は悪かったと思ってる。ごめんね」

「謝んな」

「え?」

「謝んなよ。確かにショックだったけど、別に秘密にされてた事を怒ってる訳じゃねぇ」

「じゃあ、どうして?」



獄寺は一度黙り込むと、意を決したように口を開いた




「俺は……何も出来なかったから、」

「え…」

「お前は、もちろん。山本や芝生達はちゃんとした役割があって…10代目のお役に立ててたのに、俺の役目ってなんだよ。あの手紙を托すだけだったのか?」

「隼人…」



彼らしいと、思った

いつだって彼は、沢田の為に役に立ちたいと最善をつくしていたから、今回の戦いでほとんど蚊帳の外だったのを、拗ねているのだろう


そんなに10代目10代目言われると、こっちが拗ねたくなるけどね




「隼人を最初に入れ替わらせると言ったのは沢田だよ」

「10代目が?」

「10年前の自分が一人で未来なんかに来たら戸惑う事しか出来ないだろうからって、君には真っ先に側に居て欲しかったって。
僕は山本武でもいいだろって言ったんだけどね、山本は一緒にいれば心強いけど、未来の状況を瞬時に理解出来るのは君だからって…。
沢田は誰よりも、真っ先に君を頼ったんだよ」

「10代目…」



隼人がそれを聞いて嬉しそうに微笑む

本当、沢田を咬み殺してやりたいよ




「俺、10代目の所に…!」

「ダメ」



僕は隼人の手を掴むと、無理矢理唇を奪い、そのままソファーに押し倒した



「ふっ……ん、なんだよ、いきなり…」

「ようやく逢えた恋人に随分冷たいんだね」

「うっ…」

「僕は君に逢いたくて仕方なかったのに、寂しいなぁ」

「なんだよ、10年前の俺とは逢ってたんだろーが」

「あの子は僕の獄寺隼人じゃないからね」



そう言って再び唇を重ねると、今度は抵抗することなく、自ら首に手を回してきた




「雲雀……俺な、」

「うん」

「10代目が死んだと思った時、心臓が止まるかと思った…」

「……うん、」

「でも、俺は右腕なんだから…しっかりしなきゃって……だから立ち上がる事も出来た」

「うん、隼人は頑張ったよ」

「でも、な。そしたら急に不安になったんだ…」

「不安に…?」



気がつけば隼人の瞳には今にも溢れそうな程の涙が溜まっていた





「もし、もしも……死んだのが10代目じゃなくて、雲雀だったら………俺はきっと立ち上がることは出来ないって…」

「隼人…」

「雲雀を失うのが、怖くなった…」



そう言って、遂に流れ出した涙を、僕は拭うように唇を落とした




「僕は此処に居るよ」

「分かってる!分かってるけど…!」

「君を置いて死んだりしない。だから、安心して」

「雲雀…」

「だって君が、守ってくれるんでしょ?」




そう告げると、隼人は少し目を見開き、沢田に見せる笑顔とは違う笑みを浮かべた


ああ、ようやく君に逢えたね




「お帰り、隼人」

「雲雀も……お疲れ様」




そして僕らはどちらからともなく、口づけを交わした…―――




End...

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ