ごくどきっ!

□繋がる想い
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「骸ー、風呂ありがとなって……メールか?」

「えぇ、ちょっと」



パタンと携帯を閉じながら意味深に笑う骸に疑問を感じたが、直ぐに部屋中に充満する香りに心を奪われた。

香りのする方へ顔を向けると、骸が作ったとは思えない程の豪華な料理が並んでいた。




「すげぇ!これ全部骸が作ったのか!?」

「えぇ、まぁ。一人暮らしが長いと自然にこういう事は得意になってしまうんですよ」

「そういうもんか?兄貴なんて俺がいなかったら料理なんて覚えずに、インスタントばっかだったろーなとか言ってたぜ?」

「獄寺先生は自分の事には無頓着ですからね。そう考えると、隼人君の存在が獄寺先生の健康を守っていたのかもしれませんね」

「え?俺は何もしてないぜ?」

「いいんですよ、何もしなくて。それより、冷めてしまう前に食べましょう」



あまりのんびりしてる時間はないみたいですからね?













「骸、後片付け手伝おうか?」

「いいですよ。隼人君はお客さんなんですから。
それにそろそろ…」




ピンポーンっとチャイムが鳴り響く。
そして直ぐにまた何度もチャイムがなる。

その慌てた様子に、骸は思わず笑みを零した。




「誰だよ。礼儀の悪い奴だな…」

「すみません隼人君。ちょっと手が離せないので出て貰っていいですか?」

「え?ああ、いいけど…」



骸に言われるまま、隼人は玄関に向かい鍵を開けると、それと同時に勢いよく開いた扉。

そして、その扉の向こうにいた人物に隼人は目を見開いた。




「ひ、……ばり?」

「帰るよ、隼人」

「えっ、ちょっ、待っ!」



半ば無理矢理手を引っ張られ連れ出された隼人。

それを眺めていた骸は、携帯を取り出した。





「獄寺先生?今、雲雀君が迎えに来ましたよ」

『そっか…。悪いな、迷惑かけて…』

「いえ、別に。可愛い隼人君の為ですから」

『………』

「獄寺先生?」

『お前、失恋した癖に随分軽いんだな』



その勇人の言葉に、骸はああっと納得する。

彼はまだ、僕が隼人君を好きだと勘違いしているのか。




「獄寺先生」

『な、なんだよ…』

「僕は諦めませんよ」

『は?』

「これからは本気で攻めるので、覚悟しておいて下さいね?」

『っ……いい加減隼人の事は諦めろって言ってんだろ!?二人の邪魔すんじゃねぇぞ!!!』



ブチッと切れた電話に、骸は思わず笑みが零した。





「本当に貴方は…可愛い人ですね」




貴方に本当の恋を教えるのは僕ですよ、勇人―――


















「雲雀!おいってば雲雀!」

「っ!?あ、ごめん。つい我を忘れて…」



雲雀が俺を迎えに来てくれた。

それは凄く嬉しいんだけど、やっぱり弟として…だよな。


って!そんなのもう関係ないだろ!
当たって砕けてやるって決めたんだから!




「雲雀…俺、」

「ごめんね、隼人」

「え?」

「僕はもう、今までのように幼なじみとして隼人と接することは出来ない」



え…?雲雀、なに言って…?


それってもう…俺は雲雀の側に居たらいけねぇの?

別れを言うために雲雀は、俺を迎えにきたって言うのか?




「なに言ってんだよ!俺はそんなの認めなっ…」

「隼人が好きだから。今までと同じではいられない」




今、雲雀はなんて言った。


俺の事が……好き?





「嘘、だ」

「嘘じゃない」

「だって雲雀はっ、俺じゃなくて兄貴が」

「勇人さんの事は好きだよ。でも、僕にとっての特別は隼人だって気付いた。
守りたいって…ずっと側に居たいって思うのは、世界中で…隼人だけだ」

「っ……俺、」



どうしよう。涙が止まらなくて、上手く言葉が出てこない。

俺の気持ちも全て、雲雀に伝えたいのに――





「っ……ごめんね、隼人。突然こんな事言ったら迷惑だよね」

「違っ!俺は!」

「でも、もう遅いから。隼人は誰にも……譲らない」



すると、俺の唇に柔らかい感触。強引に交わされた口づけ。

こういう、俺の気持ちなんてお構い無しな所は、やっぱり雲雀らしい。




「隼人…、」

「っ…馬鹿、野郎。キスすんだったら、ちゃんと返事聞いてからにしろっ」

「え?」

「俺も、雲雀が好きだっ…。大好きだ!」




俺の言葉に、雲雀は一瞬驚いたように目を見開いて、優しく微笑んだ。


きっと兄貴も知らない。

雲雀の本当の笑顔だった。

















「兄貴、怒ってるかな…」

「そんなことないよ」

「でも…」

「大丈夫だよ、早く入ろう」



俺は意を決して玄関の扉を開く。
すると、それと同時に顔に何かが飛び込んで来た。



「な、なんだ!?」

「にょー!!!」

「瓜!?ちょっ、痛いって!爪たてんな!」

「許してやれよ、それでも心配してたんだぜ、隼人の事」



そう言いながら玄関に顔を出したのは兄貴で。
俺は気まずそうに目を合わせた。



「あ、あの…」

「おかえり、隼人。もう家出はすんなよ?」

「い、家出じゃねぇよ!!!」



まるで何事もなかったかのように振る舞う兄貴に、俺は一生…兄貴には敵わないと思った。





「ただいま、兄貴」





Next...




****
とりあえず恭隼編(?)一段落です。
でもごくどきっ!まだ全体の半分もいってないかも…です;;(曖昧だな)


次回は新キャラ登場!新展開です!

勇人に忍び寄る魔の手!
雲雀恭弥に兄がいた!?

期待せずに待て!(笑)


拍手ありがとうございましたv


 
 

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