ごくどきっ!

□運命の始まり
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※骸さんの誕生日記念です。
※時間軸は本編より1年くらい前で、骸さんは春に並中に赴任したばかりの設定です。
※過去の話ではありますが、11話までのネタバレ、本編への伏せんが有ります。



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番外編01『運命の始まり』





春に赴任してきたばかりの生物教師、六道骸は…………頗る女子生徒の人気を集めていた。





「六道先生!お誕生日おめでとうございます!」

「骸先生、これ受けとって!」

「クフフ、ありがとうございます」




そう言って笑顔を振り撒く骸に、女子生徒はキャーと甲高い声を上げた。
中には失神する生徒も出る程だった。





「凄いね、六道先生…。休み時間の度に女子生徒に囲まれて……。
確かに美形だもんなぁ〜」

「そうですか?俺にしてみれば沢田先生の方が100倍いい男だと思いますけど?」

「あはは……。そんなこと言うの獄寺先生だけだよ」



というか美形と言うなら勇人も骸に全然負けてないと綱吉は思ったが、無自覚美形の勇人にそんな事を言っても無駄だろうと口を閉ざした。





「それに、俺はあいつ好きじゃないですね…」

「え?まぁ、獄寺先生が好感持つ人間の方が珍しいけど…」

「胡散臭いんですよね、あの笑顔…。愛想はいいですけど、絶対に裏の顔があるタイプですね」

「…胡散臭いなぁってのは俺も同感だけど」

「ですよね!仕事以外ではあまり関わらない方がいいですよ」

「あはは…」



というか獄寺君が仕事以外で関わる教師なんて俺かシャマルくらいじゃないか…。

昔からほんと人嫌いだよな…。
俺的にはもうちょっと色んな人に心開いて欲しいんだけど。







「なんの話をしているのですか、沢田先生、獄寺先生」

「六道先生!?あれ、生徒達は…?」

「予鈴が鳴ったので戻って頂きましたよ」

「…………俺、次授業あるんで失礼しますね、沢田先生」

「あ…、うん」



そう言って骸とは目も合わせないまま去っていく勇人に、綱吉は小さくため息をついた。




「僕は…獄寺先生に嫌われているのでしょうか?」

「え!?あ、いや…そういうわけじゃ…。獄寺先生は誰にでもああなんで、あまり気にしない方がいいですよ」

「そう、ですか…」

「………気になるんですか、獄寺先生のこと?」



探るような綱吉の瞳に、骸はクスッと笑みを浮かべた。



「初恋の人によく似てるな、と思っただけですよ」

「だったら忠告しておきますけど、本気にならない方がいいですよ」

「……」

「獄寺君は………誰かを好きになったりしませんから」



それだけ告げて、綱吉は去って行った。

そして骸は、もう綱吉には聞こえていない事を承知で口を開く。




「忠告だけ、受けとっておきます」



 















「流石にちょっと疲れましたね…」



今日が誕生日だからか、やたらと女子生徒に囲まれる。

正直、うざい。

作り笑顔のし過ぎで顔が筋肉痛になってしまいそうだ。



そんな事を考えながら骸は受け持ちの授業がないのを良いことに、外の空気を吸おうと屋上へと足を運んだ。

そして、屋上の扉を開いた瞬間、目を見開いた。




風に靡く銀髪。綺麗な碧眼を持つ少年。

その瞳と、目が合った…――





「君は…!」




あの、時の――――








「あ、お前が噂の六道骸だろ?」

「え?あ、はい…」



待て、落ち着くんだ。
この少年が彼の訳がない。あれから何年経ってると思っているんだ。

それにしてもこの少年…獄寺先生に…似てる。いや、似過ぎだ…。





「君はここの生徒、ですよね。今は授業中のはずですが?」

「兄貴の授業好きじゃねーんだよ」

「兄、とは……獄寺先生ですか?」

「そうだけど、知らなかったんだ。俺も今年入学したばっかだけどかなり有名人だぜ?
あ、そっか。あんた3年が担当なんだっけ」

「はい、すみません…。獄寺先生ともあまり会話をした事がなかったもので…」

「あ〜、兄貴は人嫌いだからな。あんたみたいなタイプ嫌いそうだし」

「そうなんですか?」

「うん。笑顔が胡散臭い所が」

「は、はっきり言いますね…。否定はしませんけど」

「しないのかよ、変な奴」




この少年が獄寺先生の弟。

ならやはり、獄寺先生があの時の――





「あの、下の名前を伺っても宜しいですか?」

「え?ああ、俺は獄寺はや…」



バタンッ、と大きな音を立てて屋上の扉が開く。

驚いて振り向くと、鬼の血相をした勇人が立っていた。






「は〜や〜と〜」

「ゲッ、兄貴!?」

「俺様の授業をサボるとはいい度胸だな〜?」

「だ、だって簡単過ぎてつまんねぇんだよ!?」

「気持ちは分かるが授業は出ろ!…っ……お前、」



ようやく骸の存在に気づいた勇人は、弟の側まで歩み寄りその手を掴むと、骸を睨みつけた。





「隼人には近づくな!!!」

「っ…!」

「な、なに言ってんだよ兄貴!?ちょっと話してただけだって!」



抵抗する隼人を無視して、勇人は無理矢理手を引いて屋上の扉へと向かった。


それを黙って眺めていた骸は、クスッと笑みを浮かべ二人が屋上を出ていく前に口を開いた。






「隼人君」

「え…?」

「また今度、ゆっくりお話しましょうね」



僕のその言葉に、獄寺先生は鋭い目つきで睨みつけて去って行ったが、そんなの気にしない。




やっと、見つけたんです。

あの時の彼を…。







『隼人は俺のっ、大事な弟なんだ…!!!』






きっと君は、僕のことなんて覚えてはないでしょう。

それでも、僕にとっては……運命の出逢いだったんです。








「今日は、いい誕生日になりましたね」





さて、ゆっくりと彼を……落としていきましょうか。




End...



****
この日から骸さんはやたらと隼人に絡むようになりました(目的はもちろん勇人←)

骸さんと勇人に昔どんな関わりがあったのかは本編で。ぶっちゃけたいしたことないです(笑)

番外編はこれからも本編の合間にでも書きたいですね…。
この後どういうきっかけで勇人が骸を意識するようになったのかとか。
何かリクエストがあれば受け付けます。必ずしもリクエストに応えられるとは限りませんが;;

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