うりごくパニック!

□C
1ページ/1ページ






ガラッ!!!



「ひぃ…!雲雀さん!?」



平和だった2Aの教室に、突如現れた並盛の秩序



「沢田綱吉、隼人はどこ?」

「え…?それならさっき雲雀さんと…」

「その隼人じゃない!本物の隼人だ。……もういい、自分で探す」



役に立たない…そう舌打ちをしながら去っていく雲雀を、綱吉は呆然と眺めていた



「本物の……獄寺君?」

「やっぱり今朝の獄寺は偽物だったのな!きっと骸にのっとられてたんだぜ!?」

「馬鹿じゃないの、山本。骸だったら俺が真っ先に気付いてるよ」

「あ……そっか…」

「それに……今朝も今も、雲雀さんがなんて言ったか覚えてる?」

「え?」



全く異変に気付いてないらしい山本に、綱吉は小さくため息をついた



隼人、だなんて。俺だって呼んだ事ないのに…








【うりごくパニックC】









 

教室、裏庭、保健室…


隼人がいそうな場所を片っ端に探した



その何処にも隼人の姿はなく、残るは屋上のみ




でも、隼人の身体は応接室に居る

あれは隼人の身体だというのは間違いないし、僕が間違えるはずもない



だとしたら隼人には身体がない状態なのだろうか?

いくら僕でも幽体を見つけるなんて……いや、それでも必ず見つけるけど




そんな事を考えてながら、最後の希望である屋上の扉を開く


いつもなら綺麗な銀髪を靡かせた彼が居るそこには、彼の姿はなかった



代わりに居たのは、日なたに丸まって眠る一匹の子猫だった




「瓜……?」




それは、隼人の愛猫

そういえば、隼人はよく屋上で瓜とひなたぼっこをしている


もしかして、近くに隼人がいるのだろうか?

僕には姿は見えないが、瓜には見えているのかもしれない



そう思って、気持ち良さそうに眠っているのに悪いと思ったが、瓜の身体を揺さぶった





「瓜、起きて。瓜」

「にょぉ?」



寝ぼけたような声を出しながら、瓜がうっすらと目を開く



「ねぇ、瓜。君のご主人様はどこ?」

「にょ………………にょお!?」



ようやく目を覚ましたのか、僕を見るなり瓜が大きな声を上げた


その瓜の姿に、少し違和感を感じた



いつもと、何かが違う…





そうだ。いつもの瓜なら僕を見るなり飛び掛かってくる

飼い主である自分より、なぜ僕になつくのだと隼人が拗ねるのは日常茶飯事だった



それなのに、警戒するかのように瓜は僕から一歩離れた




「瓜…?」




まさか………僕は半信半疑になりながら、再び瓜に手を伸ばす




「おいで…」

「にょ…」

「大丈夫だから。おいで…」




そう瓜に微笑みかけると、瓜がゆっくりと僕に近寄った


そして僕の手に触れると、甘えるように擦り寄った




ああ、やっぱり……間違いない





「見つけた、隼人」

「にょお!?」



目を見開いて驚く姿に、僕はクスッと微笑んだ




「なんで分かるのかって顔してるね?」





分かるよ

隼人の甘えかたくらい、僕にはね





「さて、ということはあの隼人は瓜だったのかな?」




どういう経緯で入れ代わったのかは分からないけど、とりあえずは隼人が無事でよかった



「にょ……」

「大丈夫だよ。僕がなんとかするから」




僕は不安そうな恋人を優しく抱き上げると、屋上を後にした




隼人が隼人でないのはちょっと困るけど、こうして大人しく僕の腕にいてくれるなら、たまにはいいかもね

でも、やっぱり本物の隼人を抱きしめたいから、とりあえずは赤ん坊に相談かな…?




Next...

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ