うりごくパニック!

□D
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「え…じゃあ、これが獄寺君…なんですか?」

「みたいだな」



放課後、家に帰ってきた俺……というかリボーンを訪ねて来たのは、朝から姿を見せなかった獄寺君と、いつの間にか屋上に居なくなってた瓜

そして、並盛最強の雲雀さんだった



雲雀さんいわく、どうやら獄寺君と瓜が入れ代わってしまったらしい

どうりで獄寺君の様子がおかしかったわけだ




「ごめんね、獄寺君……俺、気付いてあげられなくて」

「にょおぉ〜」



瓜(in獄寺君)の言葉は分からないけど、今のはなんとなく分かった

きっと『10代目ぇ』と目を輝かせているのだろう


うん、やっぱりこの子は獄寺君だ




「ちょっと沢田綱吉。隼人にベタベタ触らないで」

「えぇ!?でも身体は瓜なんだし…」

「僕に口答えするの?」

「スミマセン」



あまりに雲雀さんの眼力が恐すぎて、俺は名残惜しそうに抱き上げてた瓜(in獄寺君)を離した

直接聞いた訳ではないが、やっぱりこの二人は恋人なのだろう


獄寺君って本当厄介な人に好かれるな…




「で、赤ん坊。なんとか元に戻らないの?」

「んなこと言われてもな。原因が分からねぇとどうしようもねぇ」

「でもこのままじゃ獄寺君の言葉も分からないし…」

「それなら一つ方法があるぞ」

「へ?」



思いの外あっさり告げるリボーンに、俺は目を丸くした



「ジャンニーニに人語弾の開発をさせたんだ。此処に一発だけある」

「ジャンニーニって、それ本当に大丈夫なの!?また失敗作とか…」

「鼠で実験済みだ。あっさり死んだけどな」

「全然ダメじゃんか!!!!」



なに考えてるんだよリボーン!?

それで本当に獄寺君が死んじゃったらどうするんだ!!!



ああ、可哀相に獄寺君…あんなに震えて雲雀さんにしがみついてる

雲雀さんはなんか嬉しそうだけど




「安心しろ。恐らく鼠は人語を理解してねぇ。恐らくそれで聞かなかったんだ。恐らく人語を理解しているであろう匣兵器なら恐らく大丈夫だ。
ましてや中身は獄寺だしな。恐らく死なねぇだろ」

「そんな恐らくばっかの仮定を誰が信用するんだよ!!!」

「だってジャンニーニが大丈夫だって言ったんだもん」

「可愛く言ってもダメ!!!第一まだ匣兵器でも実験してないんだろ!?」

「ああ。だから隙をみてナッツで試すつもりだったんだぞ」

「勝手にナッツをモルモットにするなー!!!」




ぜいぜいと息を吐く俺の前で、それまで口を挟まず黙っていた、というか擦り寄って来る獄寺君(身体も中身も両方)に夢中だった雲雀が口を開く




「赤ん坊。悪いけどそんな命の保証がないことに隼人を托す訳にはいかないよ」



雲雀さん…!

よく言ってくれました!
ですよね!そんな危険な事を獄寺君にするわけにはいかないですよね!





「しょうがねぇな、雲雀。これで手を打たないか?」

「っ…!?これは…」



何やら写真のような物を雲雀さんに渡し、それを見た瞬間、雲雀さんの目の色が変わった




「ゴホンッ。手を打つよ」

「何の写真!?」



スッと胸ポケットにしまう雲雀さんをみて、思わずツッコまずにはいられなかった


隣でニヤリと笑うリボーンを見て、獄寺君関連の写真なんだとは理解出来る

ああ、俺も見た……じゃなくて、雲雀さん。獄寺君の命よりもそんな写真が大切なんですか?




「じゃあ行くぞ。獄寺、じっとしてろ」

「にょおぉぉぉぉぉ!!!!」



ああ、獄寺…

止めることも出来ないダメツナな俺を許してね






バンッ!





ジ・エンド・オブ 獄寺君



君の勇姿は忘れない…










****










「まだ怒ってるの?」

「当たり前だろ!俺は危うく死にかけたんだ!!!」

「ちゃんと成功したんだから良いじゃない。言葉も話せるようになって便利だし」

「そういう問題じゃねーよ!!!」




人語弾は見事に成功し、今の所は副作用もなく言葉を話せるようになった

確かに瓜に通訳して貰わなきゃいけなかったのは不便だし、結果だけ見ればよかったのだが、もし瓜の身体に何かあったらどうしてくれるんだ




「ひばりー。お腹減った」

「お腹減ったって…普通の食事でいいのかな?僕には嵐の炎は出せないし…」



そして俺達は今、雲雀の家に訪れてる

瓜と二人じゃ色々と大変だろうと、最初は10代目が家に泊まって行かないかと誘って下さったのだが、雲雀が拒否し、半ば無理矢理連れて来られたのだ




「魚でいい。魚食べたい」

「魚か…じゃあ用意するから、先にお風呂に入っておいで」



そう雲雀が告げると、瓜はビクリと身体を震わせた

ああ、そうだ。瓜は風呂が苦手だった




「やだ。絶対入らない」

「瓜!俺の身体で我が儘言うな!!!ちゃんと風呂は入れ!」

「うぅ……じゃあ、雲雀と一緒なら入る」

「は?」

「え?」



雲雀と一緒に…?


俺の身体で?




「ワオ。そうだね、一緒に入ろうか」

「ばっ///駄目に決まってんだろ!?」

「なんで?」

「駄目なものは駄目だ!!!俺が一緒に入るから我慢しろ!!!」

「えー。でも隼人、その身体じゃ俺の身体洗って貰えないじゃん」

「自分で洗え!」

「隼人ワガママー」

「どっちがだよ!?」



俺は嫌がる瓜の服の裾を噛み付きながら、風呂場へと引きずった



ああ、もうやだ

いったいこんな生活いつまで続くんだよ(泣)











「ちっ、隼人とお風呂入るチャンスだったのに」




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