小ネタ

□夢で逢いましょう(骸獄)
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9月9日


午前零時を過ぎた途端、色んな奴らから電話やメールが来た



それは凄く嬉しいが、やっぱりあいつからの連絡は……ない





そんなの当たり前だ




あいつは今、冷たくて深い水牢に捕われているのだから




それでもあいつ……骸に祝って貰いたいと思うのは




俺の我が儘なんだろうか―――?







【夢で逢いましょう】








気がつくと辺りは草原だった



どこかで見た事がある



そうか、1年前に骸に体を乗っとられた時に見たんだ




あの時、俺は骸の過去を知った

同時に、骸も俺の過去を知った…





互いに過去を知った俺達が惹かれあったのは…まるで、必然のようだった







「お久しぶりです、隼人君」


「っ…」




聞こえてきた声に、俺の体が震える





"逢いたかった"




"逢いたくなかった"




"逢ってしまったら、きっと…"









"手放したくなくなる"










「振り向いては、くれないのですか?」


「……お前は、骸じゃない。ただの幻だ」






俺が求めているのは、幻の骸じゃない



でも、ここで振り返ったら幻でもよくなる



幻に……縋ってしまう







「振り向いて欲しいなら、本物のお前が逢いにこいっ!」


「そうですね、僕も出来れば本物の自分で隼人君に逢いたいですから。

でも、1つだけ…」









「1年前のこの日、隼人君の誕生日に貴方に出会えたこと……僕は初めて、神に感謝します。


Buon Compleanno Hayato」



それを聞いた瞬間、思わず振り返った





「骸っ!!!」





でも、そこには誰も居なくて……



代わりに優しい風が吹き抜けた









「俺は、気が長くないんだからなっ!早く帰ってこないと浮気してやるからな!!」






空が、笑った気がした







俺達の恋は、まだ終わらない……―――






End...




***
初骸獄。2008年再録3弾。

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