小ネタ

□甘い悪戯(雲獄)
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2009年、ハロウィン話
***






 




「trick or treat!」

「お菓子ならないよ」




10月31日、ハロウィン


きっと俺の恋人は、俺の為に甘いお菓子をたくさん用意しているだろうと期待しながら放った一言に、あっさり返された意外な言葉




「なんで用意してないんだよー。今日はハロウィンだろ?菓子なんかいつも置いてあるのに…」



俺が甘党だと知った日から、雲雀は毎日のように俺に甘いお菓子を与えるようになった

なんか餌付けみたいだけど……というか、実際に餌付けされて恋人になったようなものだが


だからハロウィン用のお菓子を期待していたのに…




「今日はハロウィンだからね。あえて用意しなかった」

「は?なんで?」

「trick or treatって、お菓子をくれなきゃ悪戯するぞって意味でしょ。お菓子を与えられなかった僕に、隼人はどんな悪戯をしてくれるのかな?」

「な!?」



しまった…!そういう事かよ!?

雲雀は絶対に菓子を用意してると思ったから悪戯するなんて考えてなかったし!!


俺が雲雀に悪戯?

無理無理!!!絶対に無理っ!!!




「悪戯してくれないの?」

「っ…するか!!!菓子も持ってない雲雀なんか悪戯する価値もねぇ!!!」

「酷い言われようだね…。隼人はお菓子が目当てで僕と付き合ってるの?」

「お菓子で釣った本人が言うなよ!?」



つか、ちゃんと俺は……雲雀の事、好き、なのに



「隼人が悪戯してくれないなら、僕が悪戯しようかな?」

「残念だな。俺は対雲雀用にお菓子を用意してるぜ」

「用意がいいこと」

「雲雀の悪戯は悪戯じゃ済まなそうだからな」



下手すれば犯罪になりそうだ

まぁ、犯罪した所でコイツは捕まったりはしないだろうが




「ふぅ……仕方ないね」




そう呟くと、雲雀は応接室に備え付けてある冷蔵庫まで足を運び、中からカボチャのプリンを取り出した




「え………なんで?」

「隼人が素直に悪戯してくれるとは思わなかったからね、ちゃんと用意してたんだよ」

「…なんだよ、勿体振るなよ…」

「隼人に悪戯されるのも、悪戯するのも捨て難いけど、甘いもの食べてる時の隼人が1番好きだからね。可愛くて」

「男に可愛いとか言うな!」



でも俺も…そんな風に俺を甘やかしてくれる雲雀が好き

雲雀と過ごす時間が、好きだ




「食べても、いいか?」

「どうぞ」

「いただきます」




甘い、甘い、カボチャの味に、俺の頬が自然と緩まる


でも、知ってるか?


俺が甘いもん食ってる時、雲雀は凄い優しい表情で俺を見てるんだぜ?



多分、俺にとってお菓子はついで

そんなお前に、逢いたいから





「雲雀、ちょっと…」

「なに?」



雲雀に隣に来るように促すと、雲雀は大人しく俺の隣に腰をかける


近くなった距離に、俺は雲雀に手を伸ばしてその唇に己の唇を重ねた




「っ!?」




目を見開いて驚く雲雀

それもそうだろう


俺からキスするなんて、今のが初めてだから





「直ぐに菓子出さなかったから、悪戯」




そう言って俺は、赤くなった頬を隠すように再びプリンに食らいつく

その様子を黙って見ていた雲雀は、クスリと笑った





「もっと悪戯、して欲しいな?」

「調子にのんな、バーカ」





甘いお菓子も好きだけど、雲雀とする甘いキスはもっと好き




そんなこと、ぜってぇ言ってやんないけどな






End...





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珍しく甘いだけの雲獄に…。
甘いの書くのはやっぱり苦手です。獄寺が別人になっちゃう(笑)


ハッピー ハロウィン!!!

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