小ネタ

□二人のご主人様(瓜獄)
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『瓜―――』



僕の名前を呼んで、優しく頭を撫でてくれる



それが僕の、







唯一のご主人様―――








【二人のご主人様】










「にょおん」

「ん?どうしたんだ、瓜。お前から甘えてくるなんて珍しいな?」




ご主人様の名前は獄寺隼人、24歳



僕を見つけてくれて、側に置いてくれた


そして『瓜』と言う名前をくれた




僕の世界で1番大好きだった人






そう、大好き"だった"人

















「悪いな、瓜。もうお前には逢えないかもしれない…。10代目が亡き今、右腕の俺がやらなきゃならないんだ」

「にょおん?」




意味が解らなかった


ただご主人様は辛そうな顔で僕を強く抱きしめ、僕を匣にしまった





それが、ご主人様を見た



最後だった………







***


「ね……猫?」




次に匣から出された時、真っ先に目に入ったのは銀色の髪と碧の瞳



ご主人様と、同じ色だった





「これも…匣兵器なのか?でも何で猫なんだよ」




でも違う



ご主人様はこんなに幼くない


認めない、こんな奴







「お前、名前なんってんだ?っても解らねーか。俺は獄寺隼人だ」






獄寺隼人―――



ご主人様と、同じ名前



有り得ない。だってこいつは、ご主人様じゃないんだから、






「お前にも名前つけてやらねーとなぁ〜。うーん、そうだな……






瓜!!!」







――――お前に、名前付けてやらねーとな




そうだな…瓜、なんてどうだ―――?








どうして…?




どうしてご主人様と同じ瞳で


同じ声で




同じ"瓜"という名前を呼ぶんだ?








違う…



違う違う違う違う違うっ!!!






お前はご主人様なんかじゃないっ!!!


僕のご主人様はあの人だけだ!




返して、僕のご主人様を返して






ねぇ、ご主人様


どうして僕を置いていったの?



どうして僕も一緒に連れていってくれなかったの?






僕は、捨てられちゃったの?








「どうした、瓜?元気ないな…?」



瓜なんて呼ぶな


その名前を呼んでいいのは、ご主人様だけだ





「よくわかんねーけど、元気だせよな」



そう言って、もう一人の獄寺隼人は僕の頭を優しく撫でた



同じだった



ご主人様より少し、手は小さかったけど




同じ、手の温もり


見上げると優しい笑顔





悔しいぐらい一緒だった






「ふにゃあっ!!!」

「痛って〜!!いきなり引っ掻くなよっ!?」





でも、まだ認めない




いつか、お前がご主人様のような男になれたら



誰もが認める、立派な男になれたら




その時は―――








***


「瓜〜飯だぞ〜。って、寝てんのか?」



誰かが僕を呼んでいる



この声は…?




ああ、ご主人様だ。間違いない





「にょおん…」

「お、起きたか、瓜」




僕は長い夢を見ていたのかな?


だって目の前には、あの日のままのご主人様が居るんだ





「瓜〜今日はご馳走だぞ!何てったって俺と瓜が出会って調度10年経ったんだからな!
二人でお祝いしようぜ?」

「にょおん!」










今日は記念日



僕とご主人様が出会って10年の日






そして……





僕と、もう一人のご主人様との10年ぶりの再会の日――――







END...

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