小ネタ

□たった一つの勇気で世界は変わる(ラン獄)
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※他×獄←ラン前提のラン獄
※10年後設定……だけどほぼ15ラン×14獄
※悲恋くさいです。
※一応獄寺誕生日ネタ。










並盛の地下にあるボンゴレアジト。

そこでランボは、陽気な足取りで獄寺の執務室へ向かっていた。



その手には任務の報告書と、赤い薔薇の花束。




「獄寺氏、よろこんでくれるかな…」




今日は10年もの間片思いしている獄寺隼人の誕生日だった。

ミスばかりでまともに任務も熟せない俺が、今日の任務は満足のいく結果を残せた。


普段から子供扱いされているせいでなかなか告げることの出来なかったこの想いを、今日こそ告げてやる!




そう意気込みながら執務室の前に立ち、ノックをしようと腕をあげたその時、中から聞こえてきた声にランボは動きを止めた。





「ちょ、待って……誰か来たら、んぁ…」




その声は間違いなく獄寺氏のもので、一緒に聞こえてきた男の声も……耳馴染みの声だった。




「っ……!」




いつから?いつからこの二人はこういう関係だったんだろうか?

俺が獄寺氏に相応しい大人な男になろうと必死に努力してる間に、獄寺氏はとっくに手の届かない存在になっていたなんて…。



信じられない。信じたくない。


でも、これが現実。




俺があと10年早く生まれていれば。

獄寺氏と……並んで歩ける男だったら……未来は変わっていたのかな?









ボンッ、と大きな音が鳴り、辺りが真っ白になった。


ああ、また十年バズーカか。

でも、あの現実から逃げ出せるなら、もうなんでもいい―――






















「アホ牛!!!」

「え……10年前の…獄寺氏?」



辺りを見回すと、そこは子供の頃よく遊んだ公園で……獄寺氏以外は誰も居なかった。




「お、脅かせんなよ!?入れ代わったと思ったら気絶してるし!!!」

「え…す、すみません!ちょっと衝撃的なものを見てしまって…」

「衝撃的?」

「あ、いや…」



獄寺氏があの人とイチャついてるところです、なんて言えるわけもなく言葉に詰まると、それを察してくれたのか獄寺氏は俺から視線を外し、辺りに散らばっている紙を集めだした。




「あっ…それは!」

「これ、任務の報告書か?」

「す、すみません…。ちょうど報告に向かう途中で…」

「へぇ〜お前もちゃんと仕事してんだな。見直したぜ」

「っ…」



見直した、なんて言われたの……初めてだ。

今の俺なら、この時代の獄寺氏の隣を歩けるくらいに成長してるだろうか?


もし、十年バズーカの効力が5分じゃなくて、もっと長かったら………未来を変える事が出来るだろうか?




「これもお前のか?くしゃくしゃになっちまったけど…」

「あ、」



それは、獄寺氏の誕生日プレゼントにと用意した薔薇の花束。



「誰かにあげるつもりだったのか?でもこれじゃあなぁ…」

「獄寺氏に、ですよ」

「え?」

「今日、誕生日じゃないですか」

「え?あ、言われてみれば…」



獄寺氏はくしゃくしゃになった薔薇の花束を見ると、クスリと笑みを零した。



「お前なぁ…いくらなんでも男が男に薔薇の花束はねぇだろ?」

「そう……ですよね。おかしいですよね…」



でも、獄寺氏には薔薇の花がよく似合うと思ったから…。




「まぁ、あんがとな。未来の俺も……喜ぶと思うぜ?」



そう言って微笑む獄寺氏を見て、俺の鼓動が高鳴った。



パラレルワールドでもいい。

未来を変えたい。


その笑顔を、俺だけのものに―――





「獄寺氏っ…!」

「ん?なんだいきなり?」

「俺は……貴方が好きです。世界で1番、大好きです!」

「え―――」





ボンッ、という音と共に、再び煙りに包まれた。



ああ、神様酷いです。

俺にとって、一世一代の告白だったのに――――
















「お、戻ってきたな」

「え……大人の獄寺氏?」



気がつくと、俺は獄寺氏の執務室のソファーに座っていた。




「ったく、ようやくかよ」

「えぇ!?あ、あの…もしかして5才の俺がまた何か迷惑を…」

「そうじゃなくて!俺は10年も待たされたって言ってんだよ!」

「え?何を…」




言いかけて、俺は執務室にある赤い薔薇のドライフラワーに目が止まった。

あんなもの…この部屋にあったっけ?



あ、そういえば俺……獄寺氏に渡す予定だった薔薇、10年前に忘れて…………え?




「あ、あの!?あの薔薇ってもしかして!?」

「…ようやく気づいたのかよ」




もしかして……未来が、変わった?




「あの!獄寺氏には恋人居ますか!?」

「はぁ?んなの居るわけねぇだろ。誰かさんが言い逃げしたせいでな」



嘘だ…。

こんなたった一言で未来を変える事が出来るなんて…。





「やっと10年前の返事が出来るな。



ランボ、俺もお前が好きだぜ?」




End...



*****
初のラン獄です。実は密かにラン獄ブームです←


分かりづらかったと思うので補足。


元々ランボが居た世界の獄寺には恋人が居ます(相手は誰でもv)
でも、過去でランボが勇気を出して告白したことで未来が変わり、獄寺に恋人が居ないパラレルワールドの元の時代にランボは飛ばされたというわけです。

あまり深く考えないで下さい。パラレルワールドは複雑すぎます(笑)

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