小ネタ

□悪夢の始まりは、君と(雲獄)
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雲獄始まりの話。雲雀視点。
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君は、知らないだろう。


あの日、六道骸に屈辱を与えられ閉じ込められた壁の中で聞こえた爆発音に胸が高鳴ったこと。

崩れた壁の向こうに、君の姿を見た時に芽生えたこの感情。



たぶん、君には分からないだろう。

だって僕自身、あのときの胸の高鳴りの正体を分からずにいるのだから―――





*悪夢の始まりは、君と*






――――り、……ばり!



声が、聞こえる。


『元気そうじゃねーか…』


そうか、この声は……君の…――




「雲雀…!!!」

「っ……」


目を開けると目の前には一面の青空……ではなく、それを遮る銀髪と碧眼。


「……なに?」

「なに?じゃねーよ!!てめぇが没収したアクセ昼に取りに来いって言ったんだろ!?応接室に行ってもいねぇし、草壁に聞いたらここだって…」


言われて校舎の時計台に目を向けると、既に昼休み終了10分前。二限目の時に見廻りを終えて屋上に上がったはずだから、随分長い間眠っていたらしい。


(しかも、あの日の夢を見るなんて…)



あれから半月がたった今でも、未だに何度もあの日の夢を見る。

繰り返し、繰り返し。最後は必ず、嫌味っぽい傷付いた獄寺の笑みで目を覚ます。

僕にとっていい思い出では………ないはずなのに。



「にしても珍しいな。お前、葉が落ちる音でも目が覚めんだろ?なのに俺が屋上に来ても全然起きねぇし」

「夢見が悪かったんだよ」


でも君以外の誰かが屋上に足を踏み入れたのなら、絶対に起きる。
そして夢の続きを邪魔したその存在に、腹をたてるのだろ。



「………お前、夢なんてみるんだな」

「君、僕をなんだと思ってるの?」


サイボーグかなんかだと思ってるのかと少し腹をたて、ゆっくりと起き上がった。


「いつも……同じ夢を見るんだよね」

「同じ?悪夢をか?」


悪夢……なのだろうか。

夢見が悪いと言ったのは自分なのに、あれが悪夢だとはどうしても思えなかった。



「夢は願望の表れ……ってよく言うけど。それが悪夢だって言うんなら、夢に出てくる存在を無意識に恐れてる……とかじゃないのか?」

「恐れてる?僕が?」


君を?とは口には出さずに、獄寺をじっと見つめた。

こんな弱い草食動物、僕が恐れているわけがない。そう思うのに、否定が出来ない。



「へぇ、雲雀にも弱点があったんだな〜」


そう言って獄寺は嬉しそうに笑い、フェンスに背中を預けて座り込んだ。
そして徐に取り出した煙草を素早く側まで歩み寄り、没収する。


「未成年者の喫煙は法律違反だよ」

「今さらだろ?」


弱点。確かに君は僕の弱点かもしれない。

他の生徒なら問答無用で咬み殺すであろう行為を、没収だけで留めてしまうなんて。あの日より前の僕だったらあり得ない事だ。


(悪夢、だな)


自分に弱点があるなんて。

君に……惹かれているなんて………悪夢だ。



「ねぇ、君はどんな夢を見るの?」



そう言って僕は彼の隣に腰をかけた。

20p開いたその距離。君に肩を貸したあの日のように、もっと距離が縮まればいい。

そう、願わずにはいられなかった。



end





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今さら黒曜編のその後w
実は獄寺視点も考えてあるんですが書くかは未定←オイ
 

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