小ネタ
□ロクサネー妃より愛を込めて(骸獄)
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※骸誕生日記念
※『アレクサンダー大王より愛を込めて』の続編です。
※アレクサンダー〜を読んでないと理解出来ないです。
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「ほら、有り難く受けとれ」
6月9日、PM11:00。
銀髪の少年が唐突に訪ねてきて突如差し出された小さな箱に骸は目を見開いた。
「なんですか、これは?」
「ケーキだよ!誕生日だろ!?」
「それは分かりますが、なぜ僕に?」
「っ………てめぇが去年の俺の誕生日にケーキなんか寄越すから…!か、返さないと悪いだろ!?」
まさか気にしてくれていたなんて。
あの日からこれといった進展もなく半年以上が経ち、正直忘れられているのだとばかり思っていた。
「僕の誕生日、あと一時間しかないんですが?」
「べ、別に過ぎてなきゃいいだろ!俺だって忙しいんだ!」
僕は日付か変わったと同時に逢いに行ったのに。まぁ、不器用な彼が自らの意思で会いに来てくれただけでも大きな進歩だ。
それだけでも充分過ぎるほど嬉しい。
「食べてもいいですか?」
「え!?今か!?」
「えぇ、せっかく隼人君が持ってきて下さったんですし。今お茶淹れますね」
そう言って台所用に向かう途中、もしかしてと思いケーキ箱の中身を覗き見た。
しかしそこにあったのは期待していたモンブランではなく、僕の好物であるチョコレートケーキ。
(モンブランでは無いことを悲しむべきか、好物を知っていてくれた事を喜ぶべきか……微妙ですね)
そう思いながらも頬は自然に緩んでいく。やっぱり嬉しい。
例えこのケーキがあの時の返事ではなくただのお返しだとしても。ケーキを買うときは僕の事だけを考えて選んでくれたという事実が。
「いい加減、進展させないとですね」
中途半端に愛を告げ、彼の反応を楽しむのも好きだか、そろそろ我慢の限界だ。
余裕を噛まして他の男に奪われたらもともこもない。今日こそこの関係を終わらせようと意気込み、隼人君の元へ戻ると…。
「……いない」
逃げられた。しかし何故?彼の性格からして敵前逃亡なんて考えづらい。
そこまでして逃げる理由……そう言えば今直ぐにケーキを食べる事にやたらと反応していた。目の前で食べられたくない理由でもあったのだろうか?
っと、そこまで考えて僕はある可能性を見いだした。そして、手元にあるケーキを徐に口へと運ぶ。
「っ………!?」
口に広がるのは少しビターなチョコレートの味。そしてその奥に隠れる、仄かなブランデーと甘い栗の食感。
「マロングラッセ?」
外見ではまったく判別出来なかったが、生地の間には細かく砕かれたマロングラッセが入っていた。
そしてよく見ると、ケーキ箱に記されているお菓子メーカーはこの近辺にはないお店。つまり、学校帰りにわざわざ買いに行って……それでこんな時間に…。
「っ……隼人君!」
僕は慌てて黒曜ランドを飛び出し、隼人君の足取りを追った。
博識な隼人君がマロングラッセに込められた意味に気づかない訳がないと分かっていた。だからこそ、僕は彼の誕生日に遠回しな愛の告白をしたのだ。
そしてあのケーキが、不器用な彼なり返事なのだとしたら………。
「隼人君っ!!!」
銀髪のその背中を見つけるなり、僕はその背中をきつく抱き締めた。
「なっ、骸!?」
「あれが……答えだと自惚れてもいいんですよね?」
「えっ、いや…その」
「愛してます。隼人――――」
真っ赤になる彼の顔に近づき、そっと唇を落とした。
二人の口に広がる甘いマロングラッセの香りは、僕らにとっては何にも負けない恋の味となりだろう。
end...
ギャー!ぎりぎり間に合った(><*)
突発なのでネタがなくて以前の獄たんの続きです;;甘いっつーかなんつーか、臭い?
すみません;;誤字チェックもしてないんだぜ!!!ぎりぎりだから!!!