花ざかりの君たちへ

□繋いだ手、繋がれた心
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瑞稀が学校を去ると決めた日。

2人はそっと寄り添うように眠りに就いた。

彼女の性格上、静かに桜咲を去ろうと思っていたが・・・。

そうはいかなかった。

1年半の間、共に過ごした仲間の見送りが彼女を待ち受けていた。

一人一人の別れの言葉、そして佐野からの「約束」・・・。

全てを噛み締めながら、彼女はアメリカへと帰っていった。

機内から見える、切ないくらいの蒼い空。
その広がる空にただ、思いを馳せていた。

彼女達の別れを「別れ」と呼んだ者がいるならば、何処かに「出会い」と呼んだ者もいるであろう。

それはただ単に「人と人とが出会う」のではなく「心と心が出会う」ことも一言に纏めれば十分に『出会い』と呼べる。

その『出会い』は「別れ」よりも不透明で、不正確だが、確かに「出会い」でもあるのだ。

それが形になるまでには、もう少しだけ時間が必要になる。






でも、「心と心の出会い」は確かに立証された。

それは彼と彼女の心のつながりだ。
二人は、きっと手を繋ぎ、繋がれた手から心の絆を強くすることが出来た。
2人にはもう、「愛してる」などの言葉はいらなかったのだ。

「手を繋ぐ」という行動は、お互いの温度を確かに共有できる。
そしてそれは、時が流れたとしても、必ず残っているのだ。


そう、たとえ離れたとしても、掌の温度と、2人に、そして共に過ごした沢山の仲間に光を残して―

END
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