花ざかりの君たちへ
□trick or treat?
2ページ/4ページ
「芦屋。」
「ん〜?」
芦屋に近づくと、甘い飴の香りが漂ってくる。
「何〜?・・・もしかして、佐野も食べたいの?」
・・・・・・・・・・・。
「まぁー、でも佐野甘いの駄目だモンね。分かってる分かってる。冗談で言ってみただけだよ。」
芦屋・・・、今俺がその一言をどれだけ待っていたか分かるか?
瑞稀の何気ない一言が、彼のイタズラ心にさらに火を付けてしまったことなど知る由も無い。
「・・・ハロウィンの時にお菓子をあげないとどうなるのかお前知ってるだろ?」
「あ〜、お菓子をあげないとイタズラされるってやつだろ?それと何の関係が・・・」
「お前何にも分かってねーな。」
「え?だって佐野甘いもの苦手じゃ・・・・//////んッ・・・」
さっきまで飴食ってた奴の唇は特別甘い。
甘いものが駄目な俺が平気なんだぜ・・・?
そっと唇を離す。
「俺は甘いもの苦手だけど、“芦屋瑞稀”っていうお菓子はどういうわけか食えるんだよなー」
「佐野・・・?俺、美味しくないよ?」
「まぁ、お菓子はもらったからイタズラはやめておいてやるよ。」