ミニNOVEL
□熱
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side 加賀政吉
みなさん、夏です。
「あっちーんだよ馬鹿野郎!」
「…涼輔、うるさい。」
只今の気温36℃。叫びたいのは皆同じ。
部屋も学校もクーラーが効いてて涼しい分、登下校時は地獄のように感じてしまう。
我慢して学校までの道のりを歩く奴も居れば、涼輔のように無意味に叫ぶ奴も居る。
「…つかさ、政吉ってロボット?なんで汗かかねぇわけ?ねぇ、なんで?」
暑さも手伝ってか涼輔のイライラは募る一方で。グチグチと嫌みを吐きながら、涼輔は握っていた団扇を俺の鼻先へと向けた。
「俺だって暑いって。汗だってかいてる。」
毎年一緒に居ると分かるんだけど、涼輔はどうやら夏が苦手らしい。先生もそうなのかな、とか思ったり。
昨日の夜、先生から電話があった。今日の約束をキャンセルされたのだ。
仕事だから仕方がないと分かっていても、やはり寂しい気持ちは変わらない。
昨日のことを思い出して少し不貞腐れた気持ちのまま教室へとたどり着けば、涼輔は早速真っ白な机にへばりついた。
学校はクーラーが利いていて、机が冷たくなっているから、登校した多くの生徒たちこの行動に移るのだ。
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