ミニNOVEL

□あめ
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差し出されたのはあめ玉。

小さな手の上に乗っている為、少々大きく見えた。



「……くれるの?」


二人同じくらいの身長の男の子。
あめ玉を差し出された男の子が目の前のあめ玉を見つめながら問う。


「うん。僕もうヒロに会えないんだって。だから最後にこれあげる。」


しかしヒロと呼ばれた男の子は差し出されたあめ玉を貰おうとはしない。

それを面白くない男の子は更に手を近づけ取るよう促す。


「あげる。早く取って!」


ヒロは相手とあめ玉を交互に見つめ、尚も受け取ろうとしない。

そんな様子を見た相手は眉を下げ哀しい顔をした。


「ヒロ、どうして貰ってくれないの……」


最後なのに……

俯き、消えそうなくらい小さな声。
それでもヒロの耳には、しっかり届いていた。


ヒロはあめ玉を持つ小さな手を握り、相手を見つめ口を開いた。


「靖、僕らはまた会える。これが最後じゃないよ。」


だから受け取らない。


まっすぐに相手を見て言い放ち、握っていた手を離す。
靖と呼ばれた男の子は俯いていた顔を上げ、ヒロの顔を見つめる。

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