NOVEL

□虹
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side 久留米 靖

今日は雨降り。
誠は俺が昨日やりすぎたせいで立てず、学校を休んだ。
今頃寮で大人しく寝ているだろう。

「つまんね‥‥‥」

昼休みの時間になったが飯を食うにも食う気にもならない。
誠がいない学校なんて来たって意味がない。
つい最近まではあいつと全くと言っていいほど話さなくてもこんな気分にはならなかったのに、付き合うという事になった日からは誠なしじゃ何に対しても気力がでないのが不思議だ。

ふと窓を見ると、雨が弱くなったのが見えたので教室を出て階段を下りていく。
途中、昼休みで廊下に生徒は多いはずなのに俺の邪魔にはならない。
なぜなら生徒達は俺が歩いているのを見つけるやいなや、素早く道を開けるからだ。
そして俺に対しての憧れや妬み、それぞれの眼差しを向ける。
ついこの間まではその視線にイラつき舌打ちをしていたが誠と付き合ってから俺は変わった。

少し心が広くなった気がする。

この間そのまんま正十郎に言ったら、気のせいだろ。と一笑されたが。

玄関に着き外の様子を伺うと、雨は止み雲の切れ間からは太陽が覗いている。
外に出て空を見上げると綺麗な虹。
前の俺ならこの虹すら見つけてないだろう。
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