NOVEL

□虜
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ヘビースモーカーだった俺が、高校2年生の春、スッパリと煙草を辞めた。

理由は簡単。
恋人が、吸うなと言ったから。

自分だって吸うくせに、他人の煙は嫌いだという。


背が高くて色気があって時々優しい。強面なのに、笑ったらその顔がくしゃってなる。
その顔が凄く好きで。


高校1年の後期だと思う。
いつしか目で追うようになり、気づいたときには好きだった。

付き合うようになったキッカケは俺が言った一言から。



『先生、溜まってんなら俺が相手しようか?』



半分に冗談で、半分本気だった。
セックスをしたあと、先生は俺とは相性がいいと言い、それからは先生が気が向いたときに俺の部屋を訪れるようになった。

彼はひどい男だった。
自己中でヤリチン。
痛いって言っても止めないし、疲れたと言っても強行突破。

セフレなんて安い男のような気がして嫌だ、と愚痴を吐いたら、じゃあ付き合えばいい、と軽く言った。


彼の恋人は多分、俺だけじゃない。



俺はそれでも彼の事が好きで、隣にいられるならそれで良いと無理矢理自分を納得させる、どうしようもない馬鹿だった。




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