NOVEL

□遭遇
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side  久留米琢磨


「俺今日変な夢見た」

唐突に切り出す俺に友人達はそろって不思議な顔を向ける。

「なに、いきなり‥‥」

「聞いてよシロ、俺の昨日の夢!」

「シロって呼ぶな!犬みたいだろうが!」

シロとは城島悠紀のこと。ジョウジマの城という字をそのまま読みシロ、というわけだ。


「夢ん中で俺寝てたのね。そしたらなんか唇に冷たい感触を感じてさ‥‥‥」




実は夢か現実か未だに分からない。
俺はその日、友人の部屋に泊まっていた。
寝苦しい熱帯夜だった。寝返りを打つ為体を傾けようとしたが体が動かなかった。
お化けかと思い目をきつく瞑ると唇に冷たい感触が触れたのだ。


お化けがキス?変に思い薄く目を開くと、そこに居たのは暗闇の中でも分かる、恐ろしいほど美しい‥‥‥人。



『悪魔?』



まさにそう思ったのだ。
こんな綺麗な人間、居る分けないって思ったから。
思わず呟くと悪魔は俺の目を片手で覆った。
やっぱり手も冷たくて、それがやけに心地よくて。
気がついたときにはもう朝になっていた。

唇には冷たく柔らかい感触が残っていて、思わず指でなぞった。



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