NOVEL
□矛盾
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side 片瀬純也
「最低!」
バチンッ
泣きながら去っていく元友人。
昨日セックスしてやったらひいひい言ってた癖に、もう友人じゃねぇだろって思ってたらそのまま言葉に出てた。
そしたらこれだよ。
頬に一発バチン。
これで何回目だっけ。
俺に近づいてくる奴は、結局セックス目当て。
それは俺も分かってるから、別に良いんだけど。
自慢じゃないけど顔は良いし、セックスの腕も自負している。
それ目当てなんだろう。
男が恋愛対象に入るこの学校で、本当の友達なんて出来るわけ無いって思ってた。
桐斗に、出会うまでは。
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今から丁度半年前くらいだったと思う。
今みたいに廊下でビンタを喰らった。そいつがさぁ、マジで思いっきりぶっ叩きやがったんだって。
思った以上に痛くて、そいつが走り去ったあと思わずその場にしゃがみ込んだ時だった。
「おーい、大丈夫か?」
目の前に差し出された氷嚢と共に、煙草や酒で嗄れたような声聞こえた。
頬を押さえながら顔を上げると、俺と同じように右頬を少し赤くした男が笑みを浮かべながら立っていた。
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