星矢book

□些細な、けれど譲れないこと
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4000hit!トキナさんリクでハデ星になります☆





その日、冥界へと泊まりに来たはずの星矢は、ハーデスに会うなりこう言った




「実家に帰らせていただきます!!」




・・・



「……それでそのまま帰ってきたの?」

「ちゃんと三行半も叩き付けてやった!!」

その場にいたラダマンティスが持っていた書類を一枚奪い取り、その裏に三行と半分きっかり線を引いてきた、と
それは別居宣言じゃなく離婚通知だと思ったが、瞬は何も言わないことにした

「……憐れな」

代わりに呟いたのは緑茶をいれてきた紫龍だ
果たしてその言葉はハーデスに向けられたものか、はたまたラダマンティスに向けられたものか
それには気付かないまま、星矢は熱い緑茶を一気に飲み干していた


・・・



いつものように兄弟揃っての食事の後、リビングで各々の時間を過ごす
ゆっくりと時が流れる
そんな最中

「ん……?」

最初に気が付いたのは星矢だ

「下が……騒がしい?」

兄弟たちが住まうのは天秤宮
それより下の宮が騒がしいと言うことは敵襲か
それにしても敵の進みが速い、否、速すぎる
あの黄金達をこれ程までに圧倒する存在

「あれ?でもこの小宇宙って……」

ぽつり、と呟いたのは瞬
他の兄弟達もその小宇宙の持ち主に気付く中、星矢だけが顔をしかめ
そしてすぐ下の宮で爆音がしたと思った直後

「星矢、余が悪かった!!」

バーンと音を立ててハーデスが現れた
一同はその姿に思わず吹き出す

「ちょっ……あれは突っ込むべきか!?」

げほげほとむせながら氷河が言い

「コキュートスの寒さに頭までやられたか」

濁った魚のような目で紫龍は遠くを眺め

「エリシオンの常春気候にあてられたのかも……」

瞬は視線を向けないように努め

「……どちらにしろ視覚の暴力だ」

どこか諦めたように一輝は溜め息をついた

「だから帰って……」

「お前が帰れ」

必死な訴えは星矢によって一刀両断
精神に1000のダメージを受けたハーデスは床に蹲った
こころなしかプルプルしている
それに連動して黒い「それ」が震える
頭の高い位置で結ばれた


ツインテール


が……


・・・



そもそもの事の起こりは昨日
たまりにたまった書類で、その日の内に署名しなければいけない物が軽く千を越え
怒りに怒りまくったタナトスと、珍しく起きていたヒュプノスがこう提案したのだ

『今日付けの書類を全て片付けたら一つだけ願いを叶える。できなかったら罰ゲーム』


結果は……まぁ、ハーデスの現状を見れば一目瞭然だろう

「だからこれは不可抗力なのだ!」

「どっちにしろハーデスが悪いんじゃないか」

プイ、と頬を膨らませながらそっぽをむく星矢
言い分が正しいので、ハーデスは正座したまま黙りこむ事しか出来ない
何とも言えない沈黙が場を支配する
時計の秒針がいやに響く中

「……明日」

先に口を開いたのは星矢だった

「明日ちゃんと仕事片付けられてたら、…………から」

後半はごく小さい声で発せられたのだが、しっかりと声を聞き取ったハーデス

「本当か!?」

瞬間、ハーデスに犬の尻尾がついた、様に見えた by星矢
それはもう、千切れんばかりにふられる尻尾が

「星矢ーvV」

「ぎゃー!!?分かったら早く仕事してこい!!」









因みにちゃっかり避難していた兄弟達は

「……で、結局喧嘩の原因はなんだったんだ?」

「なんでもハーデスが自分以外の人に髪を触らせたとかで」

「……なんだそれは」

犬も食わない何とやら



fin.


4000hitでトキナさんリク
些細な事で喧嘩してしまった二人だけど、結局星矢には敵わないハーデス
で、最後は仲直り
でした☆

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