星矢book

□大人気ない
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聖域に雪が降った
どうりで昨夜は寒かったわけだ、と暖炉に薪を焼べながらカノンは思った
寒いのは苦手だ
長年外気温とはほとんど縁のない海底にいたぶん、地上の温度変化にはついて行くのがやっとの状態
今日はもう家から出ないぞ、とカノンが決意した時、来訪者を告げるベルがなった

「よっ!!」

「…………」

出迎えてみれば、防寒対策バッチリの金髪と、薄着の赤毛がいた
嫌な予感がしつつもカノンは尋ねる

「どうしたんだ?」

「誘いにきた」

「……何に」

「雪合戦」

瞬間、フリーズ
今この金の毛むくじゃらは何と言った
雪合戦?
雪が積もった寒い日にやるあれか?
俺にこの寒い外に出ろと?

「いや、遠慮しとく」

「えー!!」

脳が弾き出した答えにミロが文句をつけた
一緒にやるんだ、とまるで子供のようにカノンの服の裾を引っ張り駄々をこねだす始末

「は・な・せ!!」

「い・や・だ!!」

デパートとかでよく見るな、この光景
とカミュが思ったかは定かではないが、いい大人の低レベルな争いに終止符を打つべく口を開いた

「いい加減にしないかミロ。カノンにも都合があるのだから……」

「う〜〜〜」

基本、ミロはカミュに逆らえない
幼少期からの躾の賜物だった
しかし納得のいかないミロはその場に爆弾を投下した

「……カノンも歳には逆らえないか」

ピタリ
と、服を直していたカノンの動きが止まる
そしてゆっくりと上げられた顔には青筋が
若干黒い小宇宙が見えないでもない

「ミロ……その言葉、後悔させてやる!!」

「受けてたぁつ!!」

びしっ!!
と指を突き付けての宣言に、ミロは腰に手をあて踏ん反り返り、いつしか二人して走り去っていた
決着をつけに行ったのだろう
取り残されたカミュは、とりあえず双児宮宅の火の番でもしていようと思ったのだった


fine.


このあと二人して冷え切ってればいいよ
で、サガとカミュに呆れられたり怒られたり……
カノンはサガで暖をとるんだよ←

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