星矢book

□聖戦と死神
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諸事情により黒サガはサガ表記になってますので混乱しないよう注意してください(笑






ブリタニア暦627年〜カンタベリーの戦い〜

島国であるブリタニア王国
海を挟んだ向こうにはガリア大陸があり、いくつもの小国が在ったが、今は戦勝国のフランドル帝国が全土を支配している
その帝国の軍隊が海を渡り王国に上陸した、と報告を受けたのはつい先日のことだった

「ほら、陛下はディテの所に行けって」

「……私に城と民を捨てろというのか」

帝国軍が上陸したカンタベリー平原
そこから軍馬で幾日もしないところに王都は位置している
その王城で第四騎士団長のデスマスクと国王のサガは睨み合っていた
サガは純白の鎧を身に纏い、年代を感じさせる剣を持っている
出陣する気、満々だ

「分かってんだろ。今、国は王を失うわけにはいかない」

王国は最近まで暴君とまで言われた先王の圧制が敷かれていた
それに苦しむ民衆を救ったのが現王のサガだ
やっと新しい王の元、新しい政策が始まるという矢先の、侵略
不安定なこの情勢を狙ってのことだろう
だが、いや、だからこそ今は王が討たれるのは避けなければ

「私が負けると言いたいのか」

ギロリ、と深紅の瞳で睨まれるがデスマスクは退くわけにはいかなかった

「最悪の結果を考えるのが俺の仕事だ」

そして、国王を守ることも
国ではない
自分が忠誠を誓った、この王を、だ

「私の仕事は民を守ることだ」

「違う。陛下の仕事は生きることだ。……あんたは愚者じゃねぇ。陥落しない城なんてねぇ事ぐらい分かってんだろ」

「……」

サガは何も言わなかった
重い沈黙が流れる

「……馬を用意しろ」

「おい、サガ!!」

「ランカスターに行けばいいのだろう」

アフロディーテ騎士団長率いる第六騎士団が衛る北の大地
おそらく、戦地から一番遠い領地だ

「……デスマスク、死ぬことは許さぬ」

ひらりと黒い髪を翻したサガはすれ違い様にそう残した



―――


カンタベリー平原
第四騎士団と帝国軍第一陣はそれぞれ布陣を敷き、開戦の時を待つ

「いいか!どんな敵も恐れるな!胸に気高き王の薔薇を抱いた同朋よ!祖国を護るために剣を振るえ!進め!俺らは最強の<薔薇の騎士団>だ!!」

激励を飛ばしたのは騎士団長のデスマスク
それに応えるように兵士が剣を振り上げ、進軍が開始する
馬が大地を蹴り上げる音
鎧のこすれる音
剣が交じる音
デスマスクは先陣を切った
愛馬に跨がり雷槍を振るうその軌跡はまるで一条の雷
死をも恐れぬ薔薇の騎士達は彼に続く……



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