星矢book

□戦うものの定めといえど
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久しぶりの任務で浮かれていたのだと思う
だからあんなへまをして意識不明の重体になった
まぁ、すぐに医者の元に運ばれたから事なきをえたとのことだ
しかし3日も眠り続けてたらしい
その間サガが執務の合間をぬって見舞いに来ていたのだと聞いて、礼を言おうと双児宮へ向かった
が、そこにいたのは

「……何故、黒」

「私だって出たくて出てるわけではない」

黒い髪に赤い瞳をした別人格の方だった

「貴様が3日も惰眠をむさぼっていたせいだ」

「好きで寝てたわけでは……」

睨まれた
普段のサガがしないぶん迫力がある

「どうせ下らぬへまをしでかしたんだろう。おかげで『私』は私が出てこなければならないほどボロボロだ」

「……すみません」

此処は謝っておいたほうが得策だ
黒い方もサガと同じで説教は長い
つかまったら最低2時間は離してもらえない

「素直な貴様と言うのも気持悪いものだ……」

本当に嫌そうに眉をしかめられた……
反論したら怒るくせに
そう言いたい、でも言わない
言ったら怒るから
怒った顔も可愛いけど

「『私』に会いたいなら2日後だ。それまで何があっても休ませる」

「……君から伝えてくれないの?」

「『私』はお前から直接聞いた方が喜ぶ」

……前々から思っていたけど、黒いサガはサガに優しい
と言うより甘い……かな


女神の盾の力により消滅したと思われていた黒いサガ
しかしその存在はサガになくてはならないもので
神々の力で復活したサガは罪の意識に駆られる様にして仕事をこなしていた
それこそ寝る間も惜しんで
黄金聖闘士と言えど人間
無茶をして倒れる寸前、黒いサガが現れサガを強制的に休ませるようになった
他にも、サガが精神的に追い詰められたりすると表に現れる
つまりサガの精神を守るようにして黒が現れる

「負傷するのは戦うものの定めといえど、最小限に抑えてほしいものだ。貴様が怪我をする度に呼び出されるなどたまったものではない」

「呼び出される、じゃないでしょ?」

「……何が言いたい、射手座」

「俺も君も、サガが大事だってことだよ」





――だって愛してるんだもの!――


End


お題配布元
ひよこ屋

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