星矢book
□もう会えないのでは、と
1ページ/1ページ
一週間
其れはあるものからの連絡が途絶えた日数を表している
*
「アフロディーテ、爪が大変なことになってるよ!?」
「ディテ、デスが音信不通で心配なのは分かるが……」
「心配などしていない!!」
そう
連絡が途絶えたのは黄金聖闘士のデスマスク
その報を受けてからアフロディーテはどうも苛々していた
そんな彼を見かねて瞬とシュラが様子を見に来たのだが
「……相当キてるな」
かじり過ぎたのだろう爪はぼろぼろになり、睡眠もろくに取れていないのか目元も酷い事になっている
「ねぇ、休んだほうがいいよ」
「休む必要など……!!」
ピクン、と
瞬との会話の途中にアフロディーテの目つきが変わる
宮に誰かが侵入してきたのだ
その小宇宙の正体を確認したアフロディーテは駆け出した
*
「よお」
「ッ……!!」
急に駆けつけたアフロディーテが見たのは合いも変わらずな態度のデスマスクだった
五体満足……とは行かないようだが
「この……バカ!!」
「バカはねぇんじゃねえの、ハニー?」
「誰がハニーだ!!」
その言葉にお前、と目の前の麗人を指差すデスマスク
それに頬を朱に染めたアフロディーテは右手を振りかざす
しかし其れが振り下ろされることはなかった
腕が下ろされると同時にうつむく
デスマスクはその肩が小刻みに震えているのに気付いた
「……わりぃ」
「思ってもいないことを口にするな」
もう会えないかと思った
なんて絶対に言ってやるものか、とアフロディーテは唇をかみ締めた
End
お題配布元
ひよこ屋