星矢book

□第一印象は寝ぼけ顔
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その子は兄さんに背負われてやってきた
眩しい金髪の、可愛い子だった

「兄さん、その子……」

「乙女座だ。リアと同い年だぞ」

「乙女座……」

正直、聖闘士になるには頼りない気がした
可憐、儚い、と言う言葉がぴったりな

「ん……」

「!!」

突然その子が眉根をよせて唸った
起きるのかな?
目を開けてくれるのかな?
いったい、どんな色の瞳をしてるんだろう?

「……」

「起きたか、シャカ」

ふるふると震えるまぶた
心臓がうるさいくらいに鳴っている
あ、睫毛長いんだな
それに気付いたときだった
瞼がゆっくりと上げられたのは
湖だ、と思った
清んだ湖が映す空の色をした瞳
まだ寝惚けているのか数度瞬きをして目を擦る
その度に見え隠れする瞳に俺は釘付けだった

「一人で歩けるか?」

「うむ……」

兄さんにそう返したけど、その子――シャカの応えは半分以上寝ている
背中から下ろしてもらって……すぐにふらっと倒れそうになる
俺はとっさにシャカの体を抱き寄せていた











「思えばあの時から俺はお前の面倒をみる運命の下にあったわけだ」

「……覚えていない」

「そうだろ」

あの後シャカは俺にもたれかかったまま再び眠りの世界へ旅立っていったのだから

「獅子宮から処女宮までは俺がおぶってやったんだぞ」

「だから覚えていない!!」

怒鳴るのは照れているから、と気付いたのはいつのことだったか
……長い時間を共にした

「シャカ」

「なんだね」

「これからも……傍にいてくれ」

「当たり前のことを」




End



お題配布元
ひよこ屋

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