FF短編book

□万聖節
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「Trick or Treat!!」

黄昏時、カオス陣営の拠点で満面の笑みを浮かべた子供達はそう言った
そもそもの事の始まりは今朝まで遡る










まだ朝も早い時間
コスモス陣営の拠点は甘い匂いが充満していた
その匂いの濃さに低血圧で滅多に自分から起きることのないクラウドやスコールが目覚めるほどだ

「クラウド、スコール」

「おはよう二人とも」

発生源たるキッチンにはフリオニールとセシルがおり、その周囲にはボウルや泡立て器と言った器具からはじまり、小麦粉、砂糖、バター、牛乳、クリーム、卵などの材料が所狭しと並んでいる
その量は尋常ではない

「珍しいね、こんな早くに起きてくるなんて」

「いや……胸やけしそうな程すごい匂いで目が覚めた」

「ああ、今日はハロウィンだからな。あ、セシル。オーブンからクッキー出してもらえるか」

「了解」

フリオニールが一抱えもあるボウルの中身を木ベラで混ぜながら言うのを聞いて、もうそんな時期かと二人は納得した

「朝食はテーブルに乗ってる。食べ終わったらスコールは広間に行ってくれ」

「……俺だけか?」

「未成年は仮装するんだって」

出来上がったばかりのパンプキンクッキーを乗せた天板を持ちながら言ったセシルの言葉にスコールは硬直した











「スコールは何が似合うかしら」

広間には衣装を着るのを手伝っているウォーリアと、とても生き生きとした魔女の仮装をしたティナがいた

「ルーネスは吸血鬼、バッツはミイラ男、ジタンは黒猫でティーダは狼男だから……」

ティナはさっそく山となった衣装からいくつか取り出し、スコールに合わせながら考え出す

「やっぱりオーソドックスに悪魔……かな。スコールは天使とどっちがいい?」

どちらも嫌だと言えたらどれだけ楽か、と思ったがあえて口にしなかったのは共に過ごした時間の賜物だろう
さて衣装はというと、悪魔は黒を基調としたゴシックな物で、背には小さい蝙蝠のような羽がついている
そしてオプションとして羊のように丸まった角が2本
しかしへそ出し
天使は同じくゴシックな物だが白を基調としており、背には大きな白い鳥の羽がある
オプションは天使の輪で、やはりこちらもへそ出しだった

「……………;;」

「スコールは黒だろ!!」

「案外白も似合うと思うけど」

着替え終ったバッツとルーネスが衣装とスコールを交互に見ながら言う

「黒!!」

「白だよ!!」

二人の言い争いはウォーリアの雷が落ちるまで続けられた










「さて、お前達にはこれからカオス陣営の拠点に行ってもらう」

仮装も終わり――結局スコールは神父になった――フリオニールとセシル、そしてクラウドが作った菓子を食べていると、突然ウォーリアが切り出した

「向こうはこの行事など忘れて菓子など用意していないだろう。だから」

「悪戯しほうだいっスね!!」

「そうだ。どうせなら壊滅に追い込むくらい悪戯してこい」

そして冒頭に至るのである










勿論、そんな行事すっかりぽんと忘れていたカオス陣営は今、真の意味で混沌と化していた



「待てバッツ!!お前は子供でないだろ!?」

「フリオニールの代理!!覚悟しろエクスデス、今日こそお前の正体を見破ってやる!!」

「ちよ、火は、火はぁぁぁあああああ!!!!」



「ティナたんは魔女ぉ?」

「うん。どうかな」

「可愛いけどさぁ、もっとフリルのついたこっちの方が断然似合うって!!」

「あ、それ可愛い」



「ジタン、わざわざ尻尾まで染めたのかい?」

「ああ。…似合わないか?」

「僕は元の色の方が好きだけど」

「クジャは黒くしても似合いそうだな」



「親父、今日は大人しく悪戯されるっス!!」

「おーおー。おめぇは犬っころか」

「犬じゃなくて狼っスよ!!」

「同じようなもんだろ」

「ムキー!!!!!!!!」










「……平和ですね」

「まったくじゃ」

遠くでお茶会をはじめたアルティミシアと暗闇の雲に交じったルーネスとスコールはため息をついたと言う




End


オチ?
そんなサービスうちにはないよ^^

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