DFF連載book

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騒がしい外に首を傾げながらジタンはガーデン内をふらふらと歩いていた
次の講義が急遽休講となり、時間を持て余す
大学部の講義でも覗きにいこうか、と行き先を決めかけた時、聞こえてきたのはここ数日で聞き慣れた声
思わず物影に身を潜め、聞き耳を立てる

「珍し………が……来るなんて……た……」

「……ない………から情報が………」

少し距離があるせいかよく聞き取れない
近づくべきか否か、考えあぐねた末にとった行動は

「うわ、最悪だね。七番ラボなんて…」

綺麗な顔を歪めて中性的な青年――クジャは吐き捨てた

「今回ばかりは誰も行きたがらん」

その話し相手――長い金髪の男だ――は諦めにもにたため息をつく
こういった反応が返ってくるのは予想済みだったのだろう

「むしろバッサリやっちゃってくれた方が世のためだよ」

「……否定はできんな」

「とにかく、僕はいやだからね」

「そう伝えよう」

その後男はクジャに目配せをすると、踵をかえす
ジタンの隠れている近くを男が通りすぎると、ふわりと嗅ぎ慣れた匂いが香った

「あれ、は……」

騎士は予想以上に、自分達の傍にいるのかもしれない










「うーん……」

「ルー、流石に目が乾いてきたんっスけど」

場所は変わり
外壁落下の現場から離れた所に陣取った兄弟達は、色が変化したというティーダの瞳を看ていた
しかし現在青に戻ったそれに特別な所など見出だせるはずもなかった

「他に変わったことはなかったの?」

かすり傷を癒していたティナが首を傾げながら尋ねる
それに正直に答えるべきか逡巡した
口を開こうとした瞬間、半ば睨み付けるようにこちらを見ていたスコールがあう
ああ、嘘はつけないなとティーダは瞬時に理解した

「ちょっと先が見えた。それだけっス」

「それは予知夢の延長っとこと?それとも何か弊害が……」

畳み掛けるようにルーネスが危機迫った顔で質問して来るが、その途中でウォーリアがストップをかけるように頭を撫でた

「その話の続きは家に帰ってからだ」

その言葉でルーネスはまだ周りに多数の人間がいることを思い出し、素直に引き下がる
帰ったら根掘り葉掘り聞き出してやる、と諦める気は毛頭ないようだが

「それ以外にも話がある。皆、今日は寄り道せず帰宅するように」

携帯を握ったままのウォーリアが放った言葉に、一同はきょとんと首を傾げた



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