DFF連載book

□04
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手に入れたのは至上の月
闇を優しく照らしてくれる光
だけど闇そのものである自分に、貴方は眩しすぎる










それでも貴方に焼き殺されるなら本望だ


=====



「その手を離してもらおうか。クラウドは私たちと昼食をとるのだからな」

ぐい、と右腕を引っ張られる

「いいや、クラウドは俺と共に昼食だ」

かと思えば左腕が

「「なあ、クラウド?」」

二人とも、笑顔が怖い
なんて言えるわけもなかった










「クラウド、相変わらずもてもてだね」

「引っ張られすぎて分裂しなきゃいいけど……」

「むしろ分裂したほうが平和かもしれないっス……」

どこに隠し持っていたのか
ルーネスとジタンとティーダは双眼鏡を片手に件の現場を見ていた
ちなみに弁当の自分の分け前は食べ終わっている

「あっ、アンジールさんが止めに入ったよ」

「……焼石に水、だな」

「火に油、かも」

ルーネスの中継にスコールとセシルは遠くを見つめ呟いた










「いい加減にしないか、二人とも!!」

騒ぎを聞き付けたセフィロスの(一応)友人――アンジールはなんとか二人を落ち着かせようとしたが

「「外野は黙ってろ」」

一刀両断、聞く耳持たず、と言った状態
見事に吹っ飛ばされたアンジールは哀れにも壁に埋まった
そして再び睨み合い
先手をうったのはセフィロスだ

「クラウド、今日はおまえの好きな砂糖たっぷりの卵焼きを作ってきたぞ」

「卵焼き……」

ぐらり、とクラウドの心が揺れる
兄弟達との時間はもちろん大切だ
しかしそれと同等に――甘いものも好きなのだ、クラウドは

「何故貴様がクラウドの好みを知っている!?」

「恋人の好みぐらい把握しないでどうする」

その言葉にウォーリアの周りの空気がピシリと凍った
クラウドの顔がしまったと言わんばかりにしかめられる

「……誰が、誰の恋人だと?」

「クラウドが、俺の、だが?」

「ほぅ……」

地を這うような声、とはまさにこれの事だろう
あまりの恐ろしさに野次馬に集まった生徒たちの顔から血の気が引いた

「私の許可なくクラウドに手を出すとは……いい度胸だ」

「貴様の許可など必要ない」

すっ、と今まで捕まれていた腕が解放される
安堵のため息をつくクラウドだったが、二人の手に握られている武器と殺気に違うため息が零れた

「害虫は排除するのみ!!」

「いい加減弟離れをするんだな!!」

至近距離で剣同士がぶつかり火花が散る
その衝撃波で壁にひびが入り、幾人かの生徒が飛んでいった










おまけ


「クラウド」

ちゃっかり避難をし、傍観に徹していたクラウドは己を呼ぶ声に辺りを見回した
その人物はすぐに見つかり、柱の影から手招きをしていた

「ジェネシス……」

「災難だったな」

ほら、と渡されたのはイチゴ・オ・レ
ガーデン内で販売されている350mlのパック仕様だ
有り難く受け取り、さっそくストローをさして飲みはじめる

「……あいつらの気持ち、分からないでもないがな」

呟かれた言葉は床が崩れ落ちる音に掻き消された




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