DFF連載book

□06
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ずっと一緒にいれると思ってた
例え血は繋がっていなくても
自分達は家族で、兄弟で
誰もこの世界を壊せないんだと










信じていたのに


===


「よしっ!!次は23ページから通すぞ!!」

放課後のガーデンは部活動やサークル活動をする生徒で賑わう
ガーデンは莫大な生徒数を誇っており、その分部やサークルも多種多様
そんな数多くあるうちのひとつ――演劇部にジタンは所属している
現在は一ヶ月後にある学園祭の演目の練習中だ

『ああ。こうでなくちゃ遠出してきた意味がねぇ』

にやり、と笑ったジタン
彼は物語の主人公の仲間、お調子者の冒険者といった役である

『え?』

『手詰まりだったのは向こうも同じ、ってことよ』

『餌をちらつかせれば飢えた獣は確実に【ジリリリリリリリリッ!!!!!】……なにかしら?』

順調に練習が進む中、突如スピーカーから非常ベルの音が流れた
ジタンと少女――ガーネットはいったん演技を止める

「なんだってんだ?」

「しっ!!静かにしろ!!」

ぼやくジタンにひとつゲンコツを入れ、騒ぐほかの部員達に指示を飛ばしたのは部長のブランクだった
静かに次の放送が流れるのを待つ


――緊急事態発生、緊急事態発生


やがてわずかなノイズとともによく通る男性の声が聞こえた


――訓練用のモンスターが脱走した。生徒は速やかに顧問に従い避難すること。他の教師は己の担当場所へ速やかに移動するように。繰り返す……



「……やばくね?」

「今日、顧問の先生出張……ですよね?」


その言葉に教室中がパニックに陥った
叫ぶもの、逃げようとするもの、腰を抜かすもの……

「落ち着け!!落ち着くんだ!!」

ブランクが怒鳴る

「騒げばそれだけモンスターに居場所を嗅ぎ付けられるぞ!!」

付け足されたジタンの言葉にしん……と、一瞬で静まりかえった

「とにかくここに武器があるやつは装備しておけ。顧問がいない今、ここを動くのは得策じゃない」

万が一遭遇した場合、自分達で対応するしかないのだ、とブランクは続ける
そこへ



ズシン……



…ズシン………



「なぁ、ブランク先輩」

「なんだ、ジタン」

「なんか足音聞こえるんですけど。しかも割と身体の大きいやつの……」

「奇遇だな。俺もだ」

たらり、と嫌な汗が背筋を滑った
どんどん近づいてくるそれはまるでここを目指しているような錯覚に陥る
やがて廊下側のガラス窓に写ったのは太く鱗に覆われた足と鋭い爪
そしてこちらを覗き込む黄色い瞳だった

「叫ぶな!!」

悲鳴を上げそうになった部員の口をいそいでジタンがふさいだ

「あいつは目が悪い。動かず、大きな音を立てなければやりすごせる」

ブランクがモンスターについて説明した
このままじっとしていろ、と決して大きくない声で言う
一方恐竜型のモンスターはじっ……と生徒たちを見つめていた
緊迫した時間が過ぎる
一分、二分がとてつもなく長く感じる
そんな空間を破ったのは一人の中等部の少年だった
思わず後ずさった瞬間、足元にあったコードにひっかかり、見事に机や椅子を巻き込み転倒したのだ

「ビビ!!大丈夫か……って、やばっ!!」

その音に反応し、モンスターが大きく咆哮する
教室中のガラスが割れ、再び部員達はバニックに陥った
このままじゃ、部員達が危ない
そう考えたジタンは取るものも取らず、廊下に飛び出した

「ジタン!?馬鹿なことはやめろ!!」

「大丈夫だから心配すんなって!ほらデカブツ、こっちだ!!」





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