DFF連載book

□07
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走って
走って走って走って
頭の中に地図を広げながら考えた










自分はどこに行くべきなのかと


===


武器を持ってこなかったのは失敗したな、とジタンは思った
恐竜型のモンスターは冷気に弱い
しかしジタンは魔法との相性最悪
初級魔法すらまともに扱えないのだ
残った攻撃方法は手元に武器がない現在、意味をなさない
つまり今のジタンは完全に丸腰だった
身軽さには自信があるので追いつかれることはそうそうないだろうが、さすがに長時間となるとスタミナが問題になる
モンスターとジタンの身体の大きさを見るからに、ジタンの方が圧倒的に不利だ
その前に緊急時に配置される教師の誰かにあわなければ

「くそっ、無駄に広いからなかなかエンカウントしねぇ!!」

まあ、理想と現実は違うのだが

「一番近い初期配置位置には確か……」

くんっ、と90°右に方向転換
このまま真っすぐ進み、突き当たりを左にいけばウォーリアの配置位置のはずだ
その場所から動いていない確率などたかがしれているが

「やっば……い、な」

ジタンの息がきれてくる
モンスターとの距離が幾分か縮まってしまったように感じた
少しばかり焦りながら、しかしスピードは殺さず走りつづける
すると途中、わずかながら気温が下がった気がした
いや、確実に下がっている
吐き出された息が白い



ギャォォォォオオオオン……



「!?」

突如背後から聞こえた断末魔
急いで振り返ると、そこには氷に閉ざされたモンスターがいた
一瞬、何が起こったかジタンには理解できなかった


「…君、大丈夫かい?」











モンスター騒動も一段落し、巻き込まれたウォーリア、スコール、ジタン、ティーダは疲労の色濃く帰宅した

「うわっ、どうしたんだよ4人とも!?」

「バッツ……いや、ガーデンの訓練用モンスターが逃げ出したらしくてさ」

「捕獲や退治に巻き込まれたっス……」

「うわぁ、お疲れ」

ぱたり、とジタンとティーダは力無くリビングのソファへと倒れ込んだ
その隣を無言でスコールが通り過ぎる

「スコール、夕飯は?」

「……いらない」

フリオニールの問いにそう答えると、バスルームへと消えていった

「なにかあったのか?」

「帰るときにはもうあんな調子でな」

わからない、と肩を竦めたウォーリアはそういう年頃なのかもしれないと言った
特にスコールは大人びているが、他人に相談することも少ない
わずかな変化を見逃さないよう細心の注意が必要だ

「ティーダ、今日なにか変わったことはなかったか?」

「……ヘ?あ、うん………特にはない…かな」

同じ歳、同じクラスのティーダなら何か知っているのでは、と考えたウォーリアの問い掛けだったが、ティーダはどこか上の空で
しかも早々に自室へふらふらと引っ込む辺り――いつもは煩いくらいリビングで話しをしている――、何かあったといっているようなものだった










ティーダとスコールをセシルにまかせ、ウォーリアとジタンはフリオニールとティナが温めなおしてくれた遅い夕飯をとっていた
横からのばされるおかずを狙ったバッツの手と攻防を繰り広げていたジタンはふとあることに気づいた

「そういや、クラウドとルーは?」

「仕事。急に連絡がはいってさー。ちょうど入れ違いで出ていったぜ」

「あっ!俺の春巻!!」

ジタンが少し気を逸らした隙にバッツは小皿に乗っていた春巻をひとつ掠め取り、すかさず頬張った
と同時に頭に衝撃

「っ……!!!!!」

「バッツ……明日のデザートは無しだな」

新たに数品運んできたフリオニールの肘鉄が炸裂したのだ
あまりの痛さに声も出ない
続くフリオニールの説教と、それを指差して笑うジタン

「……それで、内容と場所は」

そんな光景をなかったことにしたウォーリアは貝の酒蒸しをテーブルに置いていたティナに尋ねた

「場所は王立美術館。内容は怪盗より先に宝石を盗んで確保することみたい」

「怪盗?」

「ええ。予告状なんかも送られてきたって。今時珍しい」

くすくす、と控えめに笑うティナ
その答えに一瞬考えるそぶりを見せたウォーリアだったが、すぐに大丈夫だろうと結論づけた
ルーネスのハッキング能力とクラウドの攻撃力を持ってすれば、美術館での盗み――正確には違うのだが――などたやすいことだろう
ならばやることはひとつ
二人が帰ってきた時、笑顔で迎え入れてやるだけだ




















「よし!セキュリティ解除完了!!いつでもOKだよ、feather」

「ああ……行くぞ、knight」

闇夜に翻る漆黒の外套
顔には不気味な仮面
それは家族以外、誰も知らない夜の顔





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