DFF連載book

□10
1ページ/1ページ

最初は怖かった
幼いながらにこの能力は異端だと感じていた
だけど……










大切な人を守れるなら、進んでこの力を使うよ


===


「ウォルウォルウォルウォルウォル!!」

ドタドタっと最後は落ちる様にして二階から下りてきたティーダはその勢いのまま、リビングへ突入した

「……一度呼べば分かる」

まだ食事中だったウォーリア、ジタンと、懲りずにおかずを狙っているバッツが何事かとティーダを見遣る

「クラウドとルーネスは!?」

ばん、と手を付かれたテーブルは料理の乗っている皿を少し浮かせた
それをした当人はというと、必死の形相だ

「二人は仕事だ」

ウォーリアの答えに、目に見えてティーダの顔から血の気が引いていった
騒ぎを聞き付けたフリオニールとティナ、そして二階から様子を見に来たセシルとスコールと、兄弟が揃ったところで、ティーダは

「夢を見たっス……」

と言った
それだけか、と笑ってしまうような内容だが、生憎ティーダの見る夢は特殊だった
兄弟全員が息をのむ

「二人が捕まってて、顔は見えなかったっスけど、あの服は『女王の騎士』で、それで……!!」

「わかった、もういいぞ、ティーダ」

パニックに陥りかけ、涙目ながらに訴えるティーダをフリオニールが抱きしめ、止めた
そっと背中を撫でてやれば、ぎゅう、と肩に顔を押し当てながら背中にしがみついてくる
フリオニールに促されリビングを出て行くティーダの背を見送った後、椅子から立ち上がったウォーリア

「バッツ、出れるか?」

「もち!」

「私も行く。セシル、一時間して戻らなかったらここから逃げるんだ」

「そんな!!」

彼の言葉に異をとなえたのは意外にもティナだった

「もう、逃げたくなんかないの」

「俺達が家族を見捨てと思ってるのか?」

「必ず、助けに行く」

「……だって」

弟妹たちがそろって逃げるわけがないと言う
セシルは苦笑していたが、彼自身も考えは一緒だろう
見捨てるくらいなら、例えたどり着く先が死であっても助けに行く
瞳が、そう語っていた
ウォーリアは深くため息をつき


「……好きにするといい」


諦めたかのように言ったのだった





Next

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ