DFF連載book
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最初は怖かった
幼いながらにこの能力は異端だと感じていた
だけど……
大切な人を守れるなら、進んでこの力を使うよ
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「ウォルウォルウォルウォルウォル!!」
ドタドタっと最後は落ちる様にして二階から下りてきたティーダはその勢いのまま、リビングへ突入した
「……一度呼べば分かる」
まだ食事中だったウォーリア、ジタンと、懲りずにおかずを狙っているバッツが何事かとティーダを見遣る
「クラウドとルーネスは!?」
ばん、と手を付かれたテーブルは料理の乗っている皿を少し浮かせた
それをした当人はというと、必死の形相だ
「二人は仕事だ」
ウォーリアの答えに、目に見えてティーダの顔から血の気が引いていった
騒ぎを聞き付けたフリオニールとティナ、そして二階から様子を見に来たセシルとスコールと、兄弟が揃ったところで、ティーダは
「夢を見たっス……」
と言った
それだけか、と笑ってしまうような内容だが、生憎ティーダの見る夢は特殊だった
兄弟全員が息をのむ
「二人が捕まってて、顔は見えなかったっスけど、あの服は『女王の騎士』で、それで……!!」
「わかった、もういいぞ、ティーダ」
パニックに陥りかけ、涙目ながらに訴えるティーダをフリオニールが抱きしめ、止めた
そっと背中を撫でてやれば、ぎゅう、と肩に顔を押し当てながら背中にしがみついてくる
フリオニールに促されリビングを出て行くティーダの背を見送った後、椅子から立ち上がったウォーリア
「バッツ、出れるか?」
「もち!」
「私も行く。セシル、一時間して戻らなかったらここから逃げるんだ」
「そんな!!」
彼の言葉に異をとなえたのは意外にもティナだった
「もう、逃げたくなんかないの」
「俺達が家族を見捨てと思ってるのか?」
「必ず、助けに行く」
「……だって」
弟妹たちがそろって逃げるわけがないと言う
セシルは苦笑していたが、彼自身も考えは一緒だろう
見捨てるくらいなら、例えたどり着く先が死であっても助けに行く
瞳が、そう語っていた
ウォーリアは深くため息をつき
「……好きにするといい」
諦めたかのように言ったのだった
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