FF7連載book

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運命の日

と言うには大袈裟かもしれない

しかし確実に何かの歯車が廻りはじめる日ではあるのだ





悲愴な未来を歩むことになる少年の旅立ちの時が来た


=====



ニブルヘイムの村外れにぽつんと一軒家がある
そこには村の外からやって来た夫婦とその一人息子が住んでいた

「忘れ物はない?地図はちゃんと持ってる?武器は?マテリアは?」

「全部持ってるよ、母さん」

門前に立つ少年は色合いこそ違えど、同じ金髪を持つ青年に苦笑しながら答えた
そう、青年である

「やっぱり一人じゃ危険だよ。ミッドガルまでかなり距離あるし、海も渡らなきゃいけないし……」

「心配しすぎだ。クラウドだってもう14だぞ。それに、どこの世界に入社式に出る息子に会社まで同行する親がいるんだ」

「ここに!!」

青年は隣にいたすこし年上の男性にポカリと頭を殴られた
阿保か、と言う台詞つきで、だ

「父さんの言う通り、大丈夫だから」

「でも……」

「でも、じゃない。まったく、その子煩悩いい加減治せ」

「これは遺伝だから治らないんですー」

「そんな遺伝聞いたことないぞ!?」

ともすれば大喧嘩に発展しそうな言葉の応酬を繰り返す両親をよそに、少年――クラウドはさっさと出ていこうとした
いつもの事だ、放っておこうという結論に達したからだ

「あぁっ!待って!!」

それに気づいた青年は慌ててクラウドを呼び止めた
懐から取り出した蒼い石の首飾り
そってそれをクラウドの首にかけてやる

「これ、お守り。肌身離さず持ってるんだよ。何があっても、これだけは放さないようにね」

「……わかった」

こくり、と頷いたクラウドを抱きしめ、青年はいってらっしゃいと囁いた










遠ざかる背が見えなくなるまで見送った二人
そのどちらも表情は冴えなかった

「なんで………あの子だったのかな」

「分かっていた事だろ」

「そうだけどっ……」

可愛い息子だった
例え、本当の自分の子供ではなくとも
愛し育んできた時間は偽りではなかった
本当の両親でないと分かっても、変わらず接してくれた優しい息子

「あの日からこの世界の歴史は少しずつ変わり始めてる。……泣いてる暇なんかないぞ」

「泣いてないっ!!」

ごしごしっと目元を擦り、前を見据える

「変えてみせるよ。全ての結末を……」










君を傷つけるモノが溢れる世界
君につく傷が少なくなるように僕が盾になってあげるから
君は真っ直ぐ掴みたい未来だけを見ていていいんだよ
僕につく傷なんか気にしたいで
君を守るため僕達は来たんだから



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