FF7連載book

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ミッドガルにある神羅カンパニー
そのビルのソルジャーフロアにある統括の執務室で携帯を片手に資料の束をめくる人影があった
蒼穹のような豊かな髪に、左右異なる色を宿した瞳
中性的な容姿から性別の断定は不可能である

「分かった……嗚呼、心配ない」

不意に口元を歪め電話越しの相手に言う
声もまた、中性的だった

「ミッドガルに着くのは早くて一週間後……だろ。あいつらには強く言ってあるからな、見落とすことはない」

それでも相手は引かなかったのか、大きなため息が漏れる

「分かった、ちゃんと連絡はいれる。嗚呼………嗚呼、じゃあな」

やっとの思いで相手を宥め、電子音をさせて携帯の通話を切った
再び、ため息

「はよーっす!!」

そこへ、無駄に元気な子犬の挨拶
軽い頭痛を覚え、頭を覆った

「ソルジャークラス2nd、ザックス・フェア参りました……って、フュラーリング統括?頭なんか抱えちゃって……大丈夫なんですか?」

「嗚呼、お前がもう少し声のトーンを下げればな」

「……はい」

しゅん、と倒された犬耳が見えたのはきっと気のせいではない
とりあえず来客用のソファーに座らせ、統括と呼ばれた人物はその正面に腰掛けた

「今月末に入社式があるのはしってるな」

「えーっと……もうそんな時期か」

あはは、とごまかすように笑うザックス
それを冷たい目で見ながら統括は先ほどまでチェックしていた資料の束を押し付ける

「それまでにこの資料をよく読んでおくように」

「へ?」

きょとん、としたあとに一枚目の資料へと視線を落とす
書かれている文字は

「むむむむむむ無理!!ぜってぇ無理!!」

「何が」

「新人の!!世話!!」

「そんなことないだろ。お前、面倒見いいし。やる前から無理とかいってんじゃねぇよ」

「うぅ……」

それでも自信がないのか眉間にシワを寄せて唸る
断りたいが断れない
ザックスがソルジャーになった当初、この統括に言われたのは

『俺からの仕事はノークレームノーリターンだから』

通販かよ!!
と思わずツッコミを入れてしまったのは、
今ではいい思い出だ

「ってことでよろしく」

部屋から追い出されたザックスは手の中の資料にうなだれた










その数時間後
またもや執務室を訪れた人物が一人

「おっ、待ってたぞラザード」

統括補佐のラザード
その若さでここまでの地位に上り詰めただけありとても有能で、統括の信頼も厚い

「俺、今日で統括やめるから」

「……は?」

「で、明日からはお前が統括。これがその書類」

「はぁぁああ!!!?」

ほい、と渡された一枚の紙に急いで目を通す
一番上には異動表とあり、そこに書いてある己の名前横には確かに『統括』となっていた
そして署名の欄には何故か副社長の直筆サイン

「てなわけで、これから引継するぞ」

なんでこんな急に、とか、一日で引継ができるわけない、とか言いたいことが沢山あったが、問答無用でラザードは資料室に引きずられて行った















根回しはした
あとはお前が来るのを待つだけだ


お前を傷つけるモノが溢れる世界
お前に害成すモノ全て退けるために俺が剣になってやるから
お前は真っ直ぐ希望だけを眼に映していればいい
俺につく傷なんか気にするな
お前を守るため俺達は来たんだから



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