FF7連載book

□03
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クラウドは呆然としていた
見間違えるわけがない
自分が憧れてやまない英雄――セフィロス
その人が今、目の前にいるのだ


=====


時間は遡ること数時間前
無事にミッドガルへ到着したクラウドは、そのままの足で神羅カンパニーへ向かった
入寮届けや手続きをしてしまおうと思っていたのだ
だが、受け付けの女性に言われた言葉により数秒フリーズする
寮はまだ新しい住人を受け入れる体勢が取れていないため、入れるのは入社後
なんでも某ソルジャーが馬鹿騒ぎをしいくつかの部屋が崩壊したという
クラウドの中のソルジャー像が少し崩れたのは言うまでもない





まあ、そういうわけでカンパニーから出てミッドガルの街をうろうろと歩いていた
ホテルはおろか、宿だって取ってなんかいない
取っていたとしても、今日から入社式までの約半月、お金が持つわけがなかった

「ってことはバイトしてかないと……」

かと言って半月と言う短期で雇ってもらえるかと考えると、甚だ疑問だった

「半月……なら持つかな。凍えるなんてことはなさそうだし。最悪、狩りでもして……!?」

「ふへぇ!!!?」

そこへ突然奇声とともに真横から衝撃が襲った
勿論持ちこたえることなど出来ず、ぶつかってきた人物とともに倒れる
が、場所が悪かった
水しぶきが立ち上がると同時にクラウドが見たものは吐き出された息が気泡となって水面に浮かんでいく姿だった










「ごめんなさい!!」

そう言って上半身を噴水に浸したクラウドを助け起こしたいくらか年上と思える女性だった
そして家が近いから、お詫びがしたいから、などなど理由を付けられて連れ去られた先は喫茶店
入口のCloseの看板にもかかわらず、女性は扉を開け無遠慮に上がり込む

「あ、あの……!!」

クラウドの上げた声も無視し、半ば放り込まれる形でバスルームへ

「脱いだやつ全部そこの籠にいれといて。あと、荷物で洗濯したいのあったらそれも。あ、着替えは心配しなくていいよ。弟の持ってくるから」

じゃ、と爽やかな笑顔とともに扉の向こうに消えて行った女性へ伸ばされた手は空を掴むだけだった

「…………」

しかたない、とクラウドはため息をついた
荷物はほとんど水没
いくらか持っていた着替えもしかり
先程の言葉に甘えようという結論にたどりつき、着替えと着ていた服すべてを籠に納める
ひとつくしゃみをしてから、バスルームの扉を開けた





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