FF7連載book

□09
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世界最大規模の事業と軍事力を持つ会社、神羅カンパニー
例に漏れず、季節事のイベントも大規模であった





入社式の翌日は朝から新人歓迎会が執り行われる
クラウドは社員寮で同室となったルイと別れ、現在は世話係のザックスと共に指定されたスタート地点へと向かっていた

「サー・ザックス。歓迎会とは一体何をするんですか?」

「うーん。簡単に言うと鬼ごっこ……か?それよりクラウド、敬語いらねーって昨日も言っただろ」

「……善処します」

その答えにザックスはため息をついた
彼自身、堅苦しく話されるのは苦手であり、話すのも同等、いやそれ以上に苦手だ
敬語を使うだけで体が痒くなるという

「早く慣れてくれよ」

ぽん、と四方八方にはねている髪を撫で回した
見た目に反して柔らかいそれは大変触り心地がいい

「話戻すけどさ。新歓の名目は新人と世話係の交流を目的とするってなってるわけ。で、鬼に捕まらなかったペアの所属する部署は予算アップ。逆に鬼は全部のペアを捕まえたらなんでも望むものが一つ与えられる」

なにやら上層部からの圧力が凄そうなイベントだな、とザックスの手を頭から退かせながら他人事のようにクラウドは思った
だがやるからには全力で挑むつもりだ
武器の携帯が可と聞いて、しっかりと愛剣とマテリアを装備してきたのだから

「……肝心の鬼は誰なんです?」

逸る気持ちを抑えるように剣の柄をにぎりしめた
しっかり馴染むそれに大丈夫だと自身に言い聞かせる
だからザックスの浮かべた意味深な笑顔には気づかなかった

「皆の良く知ってる奴らさ」










開始10分前に流れたアナウンスはザックスと同じような事を言っていた
補足するならば逃走領域が訓練場と言う名のただっ広い森の中で、時間は一般終業時刻の午後5時までといった点だろう
そして

「……鬼は猫耳をつけた10人って」

「去年はうさ耳だったんだけどなー」

どちらにしろ嫌だ、とクラウドは思った
そんなふざけた恰好をした相手と戦うなんて

「戦意喪失確実じゃないか」

「行くぞクラウドー」

その衝撃の大きさはアナウンスが告げる開始の合図を聞き逃がすほどだった




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