FF7連載book

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猛スピードで変わる景色
しかしそれに酔っているヒマなどなく、クラウドは追跡者に向かいブリザガを三連続で放った
が、どの氷塊も一振りで切り伏せられてしまう
さすが、英雄の名は伊達じゃない
そう、鬼は英雄セフィロスを含むソルジャー達
逃走可能領域に対してかなり人数の少ない鬼にそう簡単に遭遇しないだろうと楽観していたのだが――どうやらソルジャーの五感を甘く見ていたようだ

「……猫耳さえなければなぁ」

本当に残念だ、とクラウドは天を仰いだ
さて、これからどうするべきか
迫ってくる鬼はおそらく……否、確実に世界最強だ
――猫耳だが
実際上級魔法すら彼の足止めにはならなかった
――――猫耳だが
この分では自分を担いで走るザックスが逃げ切れないだろうとクラウドは思った

「サー・ザックス。やはり下ろしてください。俺は足手まといです」

「なぁに言ってんの!!クラウド一人ぐらいどってことないって!!」

「しかし、サー。鬼は『はっはっは。どこに行こうと言うのだね』って感じで距離を縮めてきています」

「それどこの大佐!?」

頭上から降ってきた雷をクラウドが展開したマバリアが弾く
四方へ電撃が飛散し木々を焦がす嫌な臭いが辺りを包んだ
流石にザックスの顔色が悪くなるのも仕方の無いことだろう
相手は本気だ

「っ……クラウド、わりぃ!!」

このままでは二人とも命が危ないと危惧したザックスはクラウドを下生えの繁っている場所目掛けて放り投げ、自身は体を反転させ土煙を上げながら止まった
瞬時に迫るセフィロス
その手に握られた刀は容赦なく振り下ろされ

「ザックス!!」

構えた剣から体全体に衝撃が走った
しかし予想以上に軽いそれにザックスはつむっていた瞳をゆっくりと開く
対するセフィロスも腑に落ちない、とでも言うように眉間にシワを寄せている

「ザックス、怪我は!?」

セフィロスがザックスから数歩離れ距離をとったところで、体のあちこちに草葉をつけたクラウドが駆け寄った
ザックスを背に庇うように前に出て、剣を構え相手を見据える
視線は、逸らさない





――翡翠の瞳が細まった






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