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□どこから来るんだその自信
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そもそもの事の起こりは10分前に遡る
今日も今日とて船内ではおなじみになりつつある軍主によるテッド引きずり出し作戦が敢行されたあと、ビッキーと鏡の前を通り過ぎようとした時だ
くしゅん、とかわいらしいくしゃみと、あっ!、としまったと言わんばかりの焦った声
何事か、と二人が問う前に視界が海に支配され、テレポートの事故に巻き込まれたのだと理解した
幸い、見たことのあるそこは無人島だったが、テレポートをする予定のなかった二人が瞬きの手鏡などもっているはずもなく
帰りたくとも帰れない状況になってしまった

「お、おい、どうするんだよ!!」

「あー……まぁ、食料には困らないから迎えが来るまでじっとしてるしかない、かな」

「食料って……どう見ても椰子の実ぐらいしかないぞ!?」

いや、海に囲まれたこの小さな島では椰子の実があるだけでも幸運だと思わなくてはいけないのかもしれない
椰子の実から取れる果汁は飲み水として重宝される上、栄養価も高いが、実の方はあまり美味くない

「だから、ほら魚も頑張れば捕れるし、万が一の場合は……」

と、指差された先にいるのは巨大な蟹
言わずと知れたモンスターである
ぎぎぎ、と音がしそうな動作でテッドは軍主に振り向いた

「アレを……食う…………だって!?」

「意外と美味しいって」

「どこからそんな自信が来るんだ!!モンスターなんか食べたら腹壊すだろ、絶対!!」

「選択の余地は無いんだよ、テッド」

無情なる現実を突き付けられ、叫びたい衝動にかられた




END





68.どこから来るんだその自信
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