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□第四夜
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「…優姫…俺は…」
「あ…っ」
怖がってはいけないと頭では理解していても、体は素直に本能に従う。
優姫の首筋を伝う赤が、残酷な真実を物語っていた。
「優姫…!?」
声のする方を見ると、階段下から枢がこちらへ来るところだった。
「血に飢えた獣に成り下がったか…錐生零」
そう言って、枢は優姫を背中にかばう。
優姫の中には、雪の日の夜がフラッシュバッックされていた。
『吸血鬼の面汚しが』
このままでは、昔襲ってきた吸血鬼のように殺されてしまう…
「や…」
零をかばおうと優姫が声を発したそのとき
「優姫!!」
突然、その場には居なかったはずの真優の声が響いた。
「っ!!真優、どうしてここに?!」
「枢どういう事なの、これは…」
「話は後で。とにかく、優姫を医務室へ運んでくるよ
君は、部屋にいて?」
「枢、私は零を…」
「真優っ!お願いだ…。」
枢は切なげに目を伏せて、真優の方へ近づいてきた。
「君を…危険な目にあわせたくないんだ。わかって?」
「…少し話しをするだけよ?大丈夫だから、
優姫を早く連れて行ってあげて。
部屋で待ってるから。」
「約束して?危険なことはしないと…。」
「わかった。」
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