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□このまま大人になってく
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こんなにも大スキなのに伝えられないの








『(だってまだガキだもん)』









もらった卒業証書をぐしゃぐしゃにまるめてポケットに突っ込んだ












「名無しさんちゃん?」



『妙、ごめん。ちょっと用あるの』



妙の言葉も聞かずに群集をすり抜けながら全力走った









『(会いたい、会いたい)』






息を切れる。





想いが、恋心が、溢れる。








『(この先どうなったとしてもあなたに会えるだけでいい)』






『(それだけで充分なのに・・)』









足が、止まる








『あたしはまだ、何かを期待している』








誰もいない廊下にしゃがみこんだ








『(あたしはそう、きっと貪欲なんだ)』

















「名無しさんちゃーん?」


















大泣きしたい気分だわ。











『・・・・』




「腹いてェの?」





首を横に振った



「どうしたんだよ」






『気にしないで』




「おま、泣いてる女の子みて見捨てれる男はいねェかんな」




『嫌、どっかいって』




「むりー」



『どっかいってよ・・・!!』



「俺のこと嫌い?」




『・・・・・』




「反応なし??と、いうことはもしや俺って嫌われてんのかよ」




『うるさいっていってるじゃない・・・さっさと消えてよ!!・・・あんたなんか』








『大っ嫌い・・・よ・・っ!!』









素直になれたらこんなにも苦労しないのに








「嘘吐き」





あなたは得意の優しさであたしを包み込むから








『はやく・・どこかにいってよ・・』







「馬鹿じゃねェの?いけっかよ」










また私はあなたに期待してしまう。














『先生、あたし先生のこと好きよ・・・』








「あぁ、俺も名無しさんのこと好きだよ」




そうやって誰にでも優しいから、先生ダメなのよ。














「お。顔やっとあげたか」








『これ、あげる』





ポケットからくしゃくしゃに丸めた卒業証書をだして
先生の胸に押し付けた






「・・・?」





『あたしの宝物、先生にあげる』




あたしは立ち上がって走った


すぐにここから逃げ去りたかった

あの状態でいたら多分あたしは先生に告白をして無理無理キスをする





そんなこと、できないよ。


大好きだもん。





















『(愛してる、愛してる)』











きっとあたしはあなたに一生恋をする
















はやく大人になりたかったはずなのに


(大人になるのが怖いなんて)
(他の人と恋をするのがこんなに怖いなんて)
(思いもしなかった)






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