たんぺんだ、コノヤロー

□星空をひとりで駆け抜けた
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名無しさんの声が聞きたいだけ


名無しさんに呼ばれたいだけ




『先生、持ってきました』



「んあ・・?あ、レポートできたかごくろうさん」



『ボーっとしてましたね』


「考え事だ、考え事」


『そッ・・・んじゃ、帰るね』


「おー・・・」



去ってしまう名無しさんの後ろ姿をずっと眺めていた


引き止めたい、抱き締めたい


でも、そんな義務は俺にはナイ




「(いかないで・・・、)」




俺のこと、好きじゃなくてイイ


大好きになんなくてもいいから

名前を呼んでほしい。




名無しさんのこと想うと体が勝手にに動いた





待って、待って



「名無しさんッ・・・・!」


階段の上から息切れの声で名前をよんだ、一番下にいる名無しさんがふわりと振り向いた


この距離で、この感覚で、この空間で


俺は感じた



名無しさんが遠い




ゆっくりと階段を降りていった


響くのは俺の疎かな足音だけ



『どうしたんですか?』



「・・・・・・・」



『センセ・・・?』



「なんでこんなに一緒にいんのに、遠いんだよ」


『・・・・??』



「近くにいるはずなのによ・・・名無しさんが遠い・・」



抱き締めることさえ脅えた


『ねェせんせー・・・』



「・・・・・・・」


両手を握られた名無しさんの手は暖かい


『一緒にかえろ?』



名無しさんの笑顔は、凄く優しい




『乗せてね?原チャリの後ろ』



「おー・・・名無しさんなら大歓迎だ」


名無しさんの為なら今、歓迎会を開いてもいい


■□■□■□




『あー・・もう暗くなってる。さすがに冬近いんだね』



「そーだなー・・うぅ!さっみィ・・」



『そぅ?銀八の背中あったかいよ』



「(名前、)・・・・・」



『(震えてるのは、寒さの所為?)先生なんて呼ばないよ』


「お・・ぅ・・・」


『銀八、大丈夫。銀八の近くにちゃんといるよ』



「・・お・・・う・・ッ・」




『遠くなんかない、私も銀八のことちゃんと好きだからもう、悲しい顔しないで』



「やっぱ名無しさんのこと大好きだわ・・」



『ホント?やったねー』


「好きだァァァァァァ!!」



『いきなり何!?近所メーワク』



「だってやっと手に入れたんだから気持ちを正直にしてもいいじゃねェか」



『私のこと好きだねー』



「おまっ・・自分でよく言えるなァ」



『銀八だからいえるの』



「そーかよ・・」


震えてるのは、キミがまた遠くなるのが怖いだけ



星空がふたりを駆け抜けさせた

(このまんま・・どっかいきたい)
(可愛い事いってくれんじゃねェかよ)
(銀八とならどこでもいけるよー)
(よーし、どこいきたい?)
(銀八の家ー)
(おまッ・・・・)





ダイジョウブ、チカクニイルヨ、トオクナンカナイ、チャントスキダカラ、カナシイカオシナイデ。








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